京都を舞台にした2024年大河ドラマの次は、江戸を舞台にした『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』が放映されます。
こちらではタイトルである『べらぼう』の意味と英語タイトル『UNBOUND』の意味
を深堀りしてご紹介しています。
2025大河ドラマ『べらぼう』の意味
では『べらぼう』の意味をご紹介いたします。
『べらぼう』の語源
『べらぼう』の語源には、2つの説があります。
①”べらぼう”は穀物を潰す際に使った”へら棒”が語源で、
もともとは「穀潰し(ごくつぶし)」の意味だった説。
『江戸ことば・東京ことば』(教育出版1980年)
なお、「穀潰し」というのは、働かず遊び暮らして食事だけはしっかり取る人を悪く言う言葉です。
ダジャレ好き江戸っ子らしい語源ですね!
『べらぼう』の語源②
江戸時代の寛文(1661年〜1673年)末頃に見世物小屋で人気だった、芸人の名前”便乱坊(べらんぼう)”に由来して、人を馬鹿にする時に使っていた説。
(『本朝世事談綺麗』)
ここで気になるのがこの芸人についてですが、全身真っ黒で、頭は尖り、目は赤くて丸く、あごが猿のような容姿だったそうです。
別名”可坊(べくぼう)”とも呼ばれ、蔑視の対象だったのかもしれません。
『べらぼう』の意味
①程度がひどいこと。はなはだしいこと。また、その様子。
②普通では考えられないような馬鹿げていること。また、その様子。
③人を罵っていう言葉。バカ。
「とんでもない」「常識外れ」を意味する言葉だということがわかります。
例文)
「べらぼうに寒い」
「べらぼうな値上がり」
「このべらぼうが!」
「何を言ってやがる」という意味の「てやんでい」と一緒に使うことが多く「てやんでい、べらぼうめ!」で「何を言ってやがるこのばかものが!」という意味になるそうです。
(「てやんでい」の語源も気になります)
「べらぼうめ」をさらに江戸風に崩すと「べらんめぇ」という言葉になり、やはり人を罵るときに使います。
『べらぼう』は江戸っ子を象徴する言葉
「べらぼう」は江戸の方言ですが、江戸っ子の気質が感じられる言葉と言われています。
武士ではなく、町人に使われることが多い「江戸っ子気質」。
いったい「江戸っ子気質」とはどんな気質なのでしょうか?
江戸っ子気質とは
・さっぱりしている
・歯切れがいい
・正義感が強い
・金離れがいい(ケチじゃない)
・人情家
・短気で喧嘩っ早い
・軽率
・頑固で意地っ張り
・議論は苦手
・ダジャレ好き
・深く考えない
現在の東京人のイメージとはずいぶん違います。
また、忖度せずポンポンと率直に言葉を発するところは、前作の大河ドラマ『光る君へ』の舞台だった京都の気質と相対していますね!
・プライドが高い
・本音と建前を使いこなす
・気づかい上手
・家柄や格を重視
2025大河ドラマ英語タイトル『UNBOUND』の意味
海外向け国際放送の英語タイトルを『UNBOUND』と発表したNHK。
『UNBOUND』の意味
『UNBOUND』という単語には、次の意味があります。
unbindの過去・過去分詞形
発音【ʌnˈbaʊnd】
①「(束縛から)解放された」「とらわれない」「縛られない」
②「(本が)綴じられていない」「未製本の」unbd.
③非(未)結合の(物理化学用語)
原形である「unbind」は、
英語の「un-」という接頭辞と「bind”」という動詞から成り立っています。
接頭語「un-」は、「~を逆にする」「否定する」という意味。
動詞「 bind」は、「結ぶ」「束ねる」という意味。
「束ねない」を過去分詞にして「束縛から開放された」「とらわれない」と転じています。
制作陣の意図
身分や出自にとらわれず 慣例に縛られない”べらぼう”な生き様を見せた蔦屋重三郎を表現する言葉として選ばれたそうです。
『UNBOUND』には「未製本」という意味もあり、出版業から江戸文化を発展させていく蔦屋重三郎を想起させるタイトルともなっています。
現在も、世界の多くの国々で視聴されている大河ドラマですが、今後も積極的に国際発信を行い作品の魅力を届けていく方針のようです。
2025大河ドラマ『べらぼう』な主人公・蔦屋重三郎
生まれなどにとらわれない、自由な江戸っ子・蔦屋重三郎。
幕府からどんなに弾圧されても負けなかった蔦屋重三郎は
「物事を結論から考えて、知恵を絞る」
という思考だったと記されています。
正面からしか物事を見ないのでは、儲けはでません。
ものの見方が凡人とは違っている、つまり『べらぼう』で『UNBOUND』だったからこそ大きな成功をおさめられたのかもしれません。