こちらのページでは、
2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』
第20〜30話のあらすじ
をまとめてご紹介しています。
放映を見逃してしまった方や、見る時間がない方、内容だけ知りたい方などのお役に立てましたら幸いです。
※各話も公開中
大河ドラマ『光る君へ』第20話 あらすじ
長徳の変
長徳2年(996年)1月16日。
藤原斉信(金田哲)の妹である「藤原為光の三の君」光子のもとに別の男が通っていると勘違いした藤原伊周(三浦翔平)は、弟・隆家(竜星涼)にそそのかされ見に行きます。
誰かわからないまま、その男を驚かすため矢を放つ隆家。
相手の男が前の天皇・花山法皇(本郷奏多)と知り、2人は逃げていきます。
花山天皇は、亡くなった忯子(井上咲楽)の妹である「藤原為光の四の君」儼子を寵愛していたのです。
母・高階貴子(板谷由夏)は「中宮・定子の執り成しがあるので大丈夫だ」と動揺する伊周を慰めます。
一方、藤原斉信は、藤原道長(柄本佑)に
これで伊周・隆家も終わりだな
と嬉しそうに伝えます。
藤原実資(ロバート秋山)が事の次第を一条天皇(塩野瑛久)に伝えると、
帝は伊周・隆家の謹慎を言い渡すともに、藤原定子(高畑充希)には「身内の者にいっさい会わないよう」命じます。
為時、昇格
除目では為時(岸谷五朗)が淡路守に任命され、惟規(高杉真宙)、いと(信川清順)も大喜び。
藤原宣孝(佐々木蔵之介)から父・為時が昔、宋に船で渡ろうとチャレンジしたことを聞かされたまひろ(吉高由里子)は、宋の言葉を解する父こそ越前守に適任だと考えます。
そこでまひろ自身が父の名前で申し文をしたためます。
苦学の寒夜に紅涙襟をうるほし
除目の春朝蒼天まなこにあり
その文字をひと目見ただけで、まひろの文だと気づいた道長。
その申し文を一条天皇に見せ、宋の言葉を解する為時を越前守に勧めます。
作戦は成功し、為時は従五位下に昇格し、越前守に就任。
為時は、道長のまひろに対する思いを感じ、まひろに2人のことを聞かせてほしいと伝えます。
道長様は私がかつて恋い焦がれた殿御にございました
2人で遠くの国へ逃げていこうと語り合ったこともございました
されどすべて遠い昔に終わったことにございます
そうして越前への同行を決めたのでした。
女院、呪詛される?
土御門邸では藤原詮子(吉田羊)が臥せっており、
源倫子(黒木華)が屋敷で呪詛の札を大量に見つけます。
詮子は、伊周・隆家に呪詛されたのだと言い
許すまじ!!
と大激怒。
倫子は
(公にせず)わたしにお任せください
と道長に申し出て、含み笑い。
道長は察して受け入れます。
ですが、検非違使の別当である実資の調べで、伊周・隆家は「女院(詮子)呪詛」&「院に矢を放った」罪からは免れません。
妹の中宮・定子も内裏を去るよう命じられます。
伊周・隆家兄弟の運命は
お上が恋しくて来てしまいました
どうか、兄と弟の罰を軽くしてくださりませ
お情けを…!
と一条天皇のもとを訪れた中宮・定子。
硬い表情を向ける帝に
下がります…お健やかに
と去ろうとする定子。
思わず抱きしめる一条天皇。
伊周本人から呪詛はしていないと確認を取った道長は、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に見解を聞きますが「どうでも良い」と一蹴されます。
伊周・隆家はこの先どうなるのだろうか
隆家様はいずれあなた様の強いお力になります
伊周は?
あなた様次第でございます。
結局、兄弟は流罪になり
暴れ逃げ惑う伊周。
伊周・隆家兄弟との別れで母・高階貴子は泣き崩れます。
定子、出家
斉信から
中宮は見限れ
と助言された清少納言ききょう(ファーストサマーウイカ)ですが、まひろと2人で中宮・定子を心配し、様子を見に行くことにしました。
実家に戻っていた定子は、兄たちを捕まえようとした検非違使・藤原実資の前で髪を切り落とし出家してしまいます。
それを庭から見ているまひろとききょう。
大河ドラマ『光る君へ』第21話 あらすじ
定子、出家
実家に戻っていた中宮・藤原定子(高畑充希)は、兄たちを捕まえようとした検非違使・藤原実資(ロバート秋山)の前で放免の腰刀を奪い、髪を切り落としました。
出家いたします
ききょう(清少納言・ファーストサマーウイカ)は
私も髪をおろします!
と出家を申し出ますが、定子に止められます。
定子の出家にとりみだす一条天皇。
中宮も同罪である
朕にはもう会わぬつもりなのか…
本来、出家した者は中宮として戻ることは許されません。
二条第で一部始終を見ていたまひろ(吉高由里子)から話を聞いた藤原宣孝(佐々木蔵之介)は、
一番得をしたのは藤原道長(柄本佑)だ、右大臣・道長と女院・藤原詮子(吉田羊)の謀ではないかと考えていました。
伊周、太宰府へ
藤原伊周(三浦翔平)は剃髪したふりをして太宰府行きを拒もうとしますが、実資には通用しません。
母・高階貴子(板谷由夏)が自分も同行するので大宰府に行くよう伊周を説得します。
一条天皇はそれを許しません。
実資が
「母の同行はまかりならぬ」との
帝の仰せにござる
と言い放つと、高階貴子と伊周は道長にすがる思いで声をかけます。
右大臣様!
右大臣殿!
道長は返事をしません。
この一件で、道長は左大臣に昇進します。
定子、懐妊
そんな折、二条第が炎に包まれました。
ききょうが定子を助けに向かうと
わたしはここで死ぬ
中宮様はお腹のお子のため
お生きにならねばなりませぬ!
定子は懐妊していたのでした。
一条天皇はまだそのことを知りません。
春はあけぼの
家事で二条第を離れた定子は伯父の高階明順(たかしなのあきのぶ)の屋敷に住まいを移します。
ききょうは生きる気力を失った定子が心配でまひろに相談しました。
まひろは次の提案をしました。
以前、中宮様から高価な紙を賜ったとお話ししてくださったでしょ?
帝がそれに司馬遷の「史記」を書き写されたところ
(中宮様が)「わたしは何を書いたらいいかしら?」
とお尋ねになったの
「”枕詞”を書かれてはいかがでしょう?」
と申し上げたの
「史記」がしきものだから「枕」ですか?
中宮様が大層面白がられて、その紙を私にくださったの
でしたらその紙に、中宮様のために何かお書きになってみてはよいのでは?
帝は司馬遷の「史記」だから
ききょう様は春夏秋冬の「四季」とか
それを聞いたききょうはまひろのアイディアに感心し、中宮・藤原定子を思いながら筆を走らせます。
「春はあけぼの」
こうしてたったひとりの哀しき中宮のために『枕草子』は書き始められたのでした。
逢瀬
その頃、まひろの父・為時(岸谷五朗)は、道長に越前の商人は戦人かもしれない、穏便に宋に帰すようにと言い含められていました。
そして惟規(高杉真宙)の「文章生(もんじょうしょう)」に合格したとの知らせ。
一家は喜びにあふれます。
下向前、まひろは道長に文を書きます。
会って父を越前守にしてくれたお礼を伝えると
お前の書いた文、帝がお褒めであった
私が書いたとおわかりになったのですか?
お前の字は、わかる。
まひろが定子を追い詰めたのは道長かと尋ねたところ
肯定した道長でしたが、まひろはそれが嘘だと顔を見て察しました。
あの時、遠くの国へ逃げて行ってもお前を守りきれなかったであろう
それでもよかったと伝えるまひろは、10年間ずっと別れを後悔していたことを告げ、道長の胸に顔を埋めます。
道長もずっとまひろを思っていたと告げ、
いつの日も…
いつの日も…
2人は抱き合ったまま口づけを交わします…
翌日、京を離れ琵琶湖から北上したまひろと為時は、越前へ向かうのでした。
宋人は賑やかで、オウム(種崎敦美)も喋ります。
「ニーハオ!」
大河ドラマ『光る君へ』第22話 あらすじ
疑惑
996年(長徳2年)夏。
駿河の松原客館では、まひろ(吉高由里子)の父・藤原為時(岸谷五朗)が宋人達に囲まれました。
スージン(お鎮まりなさい)!!
と叫ぶと、宋人たちは父に注目。
これにはまひろも感心します。
2人が、彼らのリーダー・朱仁聡(デュレンツォン・浩歌)と通事(通訳)の三国若麻呂を介して話をすると、宋人達が帰国しないのは船が壊れ、修理を前の国守に頼んだもののできあがらないからだと聞かされます。
国守として「左大臣様の恩に報いる」という父の言葉を聞いたまひろは、道長(柄本佑)と別れた日のことを思い出してしまうのでした。
彼らはまことに商人なのであろうか?
…船の漕ぎ手以外は商人でございます
そう答える三国若麻呂はなにか隠しているようです。
出会い
松原客館に滞在中、乙丸を伴って浜辺を散歩するまひろは、海のある遠くの国に来たのだと感慨に浸っていた時に、宋の装束をまとった青年(松下洸平)と出会います。
まひろが挨拶をして名乗ると、相手は落ちていた木の枝で砂浜に「周明」と書きました。
しゅうめい…あなたはしゅうめい?
ヂョウミン
難しいのね、宋の言葉
まひろ砂浜に漢文で筆談をしようとしますが、仲間が呼びに来たため
ザイジェン(また会おう)
と去っていきました。
翌日、越前の国府へ発つことになっていた為時たちは、別れの宴に招かれました。
宋の羊料理や酒は口に合いませんが、まひろはもりもりたいらげます。
風に当たろうと中庭に出たまひろは、また周明と顔を合わせ、
シェシェ
シェシェはありがとうではないの?
覚えたばかりの言葉で宴の礼を言い
ザイジェン
と告げました。
贈り物
翌日、国府に到着すると、越前介の源光雅、越前大掾の大野国勝らが出迎えます。
贅沢な部屋に官吏たちが居並ぶ様子は、為時とまひろを圧倒します。
さっそく船の修理の件を持ち出しますが、官吏たちはしらっとするばかり。
宋人のことは、こちらでよしなにやっておきますので
左大臣様より宋人の扱いを任されて私は越前に参った
我が国が信用を落とすようなことではできぬ
自分の目で見届けたい
と食い下がる為時。
国守の館も豪華でまひろの居室も贅沢にしつらえられていました。
墨と筆、紙も用意されており、まひろは早速歌を書いてみます。
かきくもり 夕立つ波の 荒ければ 浮きたる舟ぞ しづ心なき
(空が一転かき曇り、夕立が降ってきた。波も荒くて、湖面に浮いた舟は安心できない『紫式部集』22番)
この日光雅は、為時と二人きりになると、砂金の袋を差し出して平伏しました。
越前のことは我ら越前のものにお任せくださいませ
国守様はそれをただお認めいただければ、懐をお肥やしになって都にお戻りになれましょう
賄賂を渡し黙らせようというのです。
そなたは私を愚弄する気か
下がれ
為時は憤慨し、賄賂を突き返しました。
これがきっかけで官吏からの嫌がらせが始まります。
誰も仕事に協力せず為時は心身ともに疲労困憊。胃が痛くなってきます。
そんな折、朱仁聡が通訳の三国を連れて為時を訪ね、朝廷にお礼の品物を献上したいと言います。為時は、左大臣である道長に尋ねてみると返答。
そのやりとりの最中、為時が胃痛に苦しむのを見た朱仁聡は、宋の医師を呼んでくれました。
やってきたのは周明でした。
宋の鍼治療に為時は絶叫しますが、痛みはけろりとなくなり
まひろは驚き周明に礼を言います。
シェシェ
内裏では宋の品々が届けられ、羊と「ニイハオ!」と言葉を発するオウム(種崎敦美)を困惑気味に眺めます。
宋人が願い事もせず帰っていったと聞いた藤原実資(ロバート秋山)は
不可解、不可解
とオウムに話しかけます。
恩人のピンチ
朱仁聡が再び為時を訪ねた時、国勝がやってきました。
国勝は通事の三国が殺されたことを告げ、その犯人が朱仁聡だとして捕らえていきました。
為時には朱仁聡がそのような人物だとは思えず、「自分が取り調べる」と言いますが、国勝は「証拠がある」と聞き入れません。
為時は
もし間違いがあれば国の信用に関わる一大事じゃ
とうろたえ、まひろは文を書いて左大臣・道長にお伺いを立てようと考えます。
左大臣の重責
内裏でまひろからの文を受け取った道長が藤原実資に代わって検非違使別当となった藤原公任(町田啓太)や中納言に昇進した実資、藤原斉信(金田哲)らと対処を話し合いました。
ですが判断が難しく、道長は一条天皇(塩野瑛久)の指示を仰ぐこととします。
道長が去った後、公任と斉信は
藤原伊周(三浦翔平)の一件以来、道長は慎重になっている
と噂します。
この日の夜、道長は 妻・源明子(瀧内公美)の住む高松殿を尋ねます。
お前の父も左大臣であったな
明子の父・源高明は 道長の父・藤原兼家(段田安則)から謀反の疑いをかけられ太宰府に左遷されています。
父が失脚しなければ兄が左大臣であったやもしれぬと思ったことはございます
されどこの頃思います。
兄には左大臣は務まるまいと…
俺とて務まってはおらぬ
俺の決断は国の決断だと思うと…
殿に務まらねば誰にも務まりませぬ
道長との間に3人の子をなした明子は、自分はかつて兼家を憎んだこともあるが、道長を心から愛したことで変わったのだと語り、押し倒します。
死と新たな命
そんなある日、道長は太宰府に向かっていたはずの伊周が都に戻ったようだと公任から報告を受けます。
伊周の母・高階貴子の病を案じて戻ってきたのでした。
公任が貴子の住む高階明順邸で待ち構えていると、伊周が現れます。
一目、母に会いたいのだと伊周は泣きすがり、公任はそれを認めます。
ですが、時すでに遅し。
藤原定子の女房・ききょう(ファーストサマーウイカ)が現れ、貴子が亡くなったことを告げました。
後日、道長は義姉である貴子の死を悼み、 高階明順邸を訪ねます。
定子(高畑充希)と対面した道長は、定子が一条天皇の子を身ごもっていることを知り驚愕。
どうかこの子を守ってください
わたしはどうなってもよいのです
どうかこの子だけは…
そう懇願された道長は、懐妊の事実を一条天皇に告げます。
一条天皇は動揺し、
すぐに定子に会いに行く
と言いますが、道長が引き止めます。
自ら髪を下ろされた中宮様をお上がお訪ねになれば、朝廷のけじめがつきません
遠くからお見守りいただくことしかできませぬ
定子を内裏に呼び戻すことも認めません。
周明は何者?
道長から
越前のことは越前で何とかせよ
という心もとない返答を受け取ったまひろは、道長は何か悩みを抱えているのではないかと案じます。
そこに周明が見知らぬ者を連れてやってきました。
役人が周明を追ってきて取り押さえようとすると、周明は日本語で訴えます。
朱様は通事を殺していない
証人だ
大河ドラマ『光る君へ』第23話 あらすじ
宋との交易
宋から来た医師・周明(松下洸平)は、三国を殺したのは朱仁聡(デュレンツォン・浩歌)ではないと日本語で話し、証人を連れてきました。
松原客館の下人によれば、早成(はやなり)という武生の商人が三国若麻呂を殺すところを見て、源光雅に知らせたところ、朱が犯人だと証言するよう強いられたというのです。
早成によると、
宋と商いがしたいと考え、三国に賄賂を渡して取次を頼んだところ、額が少ないともみ合いになった拍子に三国が転んで頭を石にぶつけてしまったとのこと。
光雅の言い分はこうです。
宋人は莫大な財産を出し渋りながら国同士の商いを認めさせようと企んでいる。
日本を格下に見ている。
越前の商人が宋から財宝を仕入れて都に売るなら、商人は利を得て、国府は租税で潤い、 都は財宝を手に入れるので三方よしとなる。
朝廷と宋が直接商いをすれば、したたかな宋の思いのままにされてしまうだろう。
この機会に朱仁聡の力を奪おうと思ったのだ。
為時は朱仁聡を無罪とし話を聞くと、実は朱仁聡は宋の朝廷から送り込まれた官人であり、日本との交易を図るよう密命を帯びている、と頭を下げられます。
為時は道長から日本の朝廷は越前での宋人との商いには応じないと伝えて穏便に国に還すよう命じられており、受け入れることはできません。
まひろと周明
いっぽうまひろ(吉高由里子)と周明(松下洸平)との距離は近づきます。
12の時、親父は口減らしのために俺を海に捨てた
海に浮かんでいる俺を宋の船が拾った
宋では馬や牛のように働かされた
ある日ここにいたら死ぬだけだと思って逃げ出した
そして医師に助けられ見習いにしてもらったのだと言います。
あなたは苦しい目にあって大変だったけれど、宋の国はこの国より懐の深い国なのではないかしら
まひろは周明に宋のことをもっと知りたいと頼みます。
宋の国は身分の低いものでも試験を受ければ官職を得られるのでしょ?
そういう国に行ってみたいとずっと思ってきたわ
この日からまひろは宋語を教わるようになり、2人は親しくなっていくのでした。
忘れえぬ女
冬が訪れ、越前は雪となりました。
都にも降り始めた雪を眺め、道長(柄本佑)はまひろを思っています。
内裏では、一条天皇(塩野瑛久)が出家した中宮・藤原定子(高畑充希)へ想いを募らせていました。
定子がいなくなり他の女御たちが入内しますが、帝は会おうともしません。
この噂を聞いた道長の妻・源倫子(黒木華)は入内した女御・藤原元子と一条天皇が語らう場を設けることを提案します。
当日、土御門邸には、一条天皇と元子の他に、元子の父で右大臣の藤原顕光(あきみつ)、道長の姉で帝の母である女院・藤原詮子(吉田羊)も集まりました。
笛を吹く帝と琴を奏でる元子。
ですが、かつて定子に笛を聴かせた思い出がよぎり、一条天皇は笛を吹くのを止めてしまいます。
帝の中宮への思いは熱病のようね
理解できないと話す詮子。
お前にはわかる?わからないわよね?
私にも妻が2人おりますが、心は違う女を求めております
己ではどうすることもできません
やっぱり!
誰かいると思っていたのよね
されどもう終わった話にございます
捨てられました
定子、出産
平惟仲邸で過ごす定子の心を慰めたのは、ききょう(ファーストサマーウイカ)の書き物でした。
この日は、鳥のひなと親鳥の様子が書かれています。
日々、この楽しみがなかったら、わたしはこの子と共に死んでいたであろう
そして定子は姫皇子を出産します。
道長の甥にあたる居貞親王は、定子が男子を産まなかったことで我が子の敦明(あつあきら)が東宮になれると喜び、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)を褒めます。
ですが晴明は
まだ皇子はお産まれになります
と不穏な未来を予言します。
越前の春
997年(長徳3年)3月。
宣孝殿(佐々木蔵之介)は年が明けたら宋人を見に越前にゆくと文をよこしたがとうとう来なかったな
宣孝をいい加減だと言う為時に、まひろは愉快で気楽なところが宣孝の長所だと答えます。
またある日は為時が、官職を得られない時期が長く、まひろに良い婿を取れず申し訳ないと謝ります。
周明は骨のありそうな男だ
かの人にとってもお前は救いであろう
私と周明はそのような間柄ではありません
それならばよい、ほほえむ為時。
翌日から越前国内の巡察に出かける予定です。
為時の留守中。
海岸でつがいのカモメが飛ぶさまを見たまひろは、周明に妻がいないことを確かめます。
ほかの人には身寄りがあるでしょ
恋しくないのかしら?
帰りたい人は帰るのがいいと思う
朱様が帰ると言わない限り俺達は帰らない
なぜ朝廷は宋と直々の商いを嫌がるのだ
なぜあの人はそこまで頑ななのかしら
”あの人”が左大臣だと聞いた周明に、暗い思いがよぎります。
まひろ、ついに…
そこに馬に乗った人物が現れます。
宣孝でした!
越前の酒やウニでもてなします。
このようなウニは帝もご存じあるまい
会う度にお前はわしを驚かせる
まひろに会うと日常とは違った世界が垣間見え、新たな望みが見えるのだと宣孝は話すのでした。
都に戻る前に宣孝が問います。
まひろ、あの宋人が好きなのか?
あいつと宋の国など行くなよ
そして思いがけぬ言葉をかけるのでした。
都に戻ってこい
わしの妻になれ
大河ドラマ『光る君へ』第24話 あらすじ
宣孝の包容力
妻になれと言う藤原宣孝(佐々木蔵之介)の言葉にまひろ(吉高由里子)は驚きますが、
あの宋人と海を渡ってみたとて忘れ得ぬ人からは逃げられまい
胸の内には道長(柄本佑)の存在があると見抜いている宣孝の言葉にまひろは動揺します。
ありのままのお前を丸ごと引き受ける
忘れ得ぬ人がいてもよろしいのですか?
良い。
それもお前の一部だ、都で待っているぞ
そう言い残し、宣孝は去っていきました。
近づく周明
その後、周明(松下洸平)が国守の館にまひろを訪ねてきました。
俺は今、宋人でもなく日本人でもない
対馬で生まれ宋にたどり着いた周明は、宋人として生きようとしていますが、松原客館にいる宋人からは信用されていないと話します。
朝廷が交易を許せば、皆の心も穏やかになる
宋に憧れを抱くまひろには、朝廷がなぜ宋との正式な交易を受け入れないのか理解できませんでした。
望みを果たし帰る時が来たら一緒に宋に行こう
まひろは曖昧に微笑むことしかできません。
宣孝に求婚されても周明に誘われても道長のことが浮かび、、まひろはただ月を見上げています。
追い詰められる帝
同じころ、都では道長も仕事に疲れ月を見上げています。
藤原詮子(吉田羊)はまた病に伏しています。
道長、道長。
今伊周(三浦翔平)がそこに立って恐ろしい形相で私を睨んでいたの
そう訴えられた道長は、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に邪気払いをさせました。
さらに一条天皇は母・詮子の病の平癒を祈念して大赦の詔を下し、花山院を襲った藤原伊周・隆家(竜星涼)兄弟を都に召喚するよう道長に命じます。
妻にも娘にも会えずイラつく一条天皇は、隆家が射た矢は花山院(本郷奏多)ではなく車に当たったこと、伊周・隆家兄弟が詮子を呪詛したのも単なる噂に過ぎないことを知っていました。
冷静さを欠き伊周・隆家、そして中宮を追い詰めてしまったこと、今は悔いておる
あの時そなたに止めて欲しかった
当時伊周を厳罰に処すよう命じたことを忘れたかのような帝の言葉に、道長は戸惑います。
公卿たちの意見に聞く耳を持たない帝をみた道長は
我らは隙があってはならない
と源倫子(黒木華)と語るのでした。
長徳の変の真相
隆家が都に戻ってきました。
内裏では、片道20日はかかる出雲からの道のりをすぐ戻ってきたことに
不可解、まったくもって不可解
と噂になっていました。
隆家は、出雲土産の干しシジミを手に道長に会いに行きます。
道長は「花山院が何者かに射掛けられた」と藤原斉信(金田哲)から知らされていましたが、隆家は「狙ったのは牛車である」と話します。
そして、自分が出世のために斉信に利用されたと気づきます。
私は兄とは違います
兄は恨みを溜める。私は過ぎたことは忘れる。
左大臣様のお役に立てるのは私にございます
その日高松殿の訪れた道長は、花山院が襲われた晩のことを妻・源明子(瀧内公美)と語り合います。
院のお体を狙うのと、御車を狙うのでは 罪の重さが全く違う
それなのにあいつは…
伊周の代わりに公卿になったのが斉信でした。
道長は斉信の思惑通りに操られていたのでした。
斉信に限らず、誰をも味方にできるような器がなければやってゆけぬな
帝の決断
その後一条天皇は母・詮子の見舞いに土御門邸を訪れ、明るい表情で定子(高畑充希)の出産を報告しました。
姫を内親王といたします
姫皇子を内親王に、出家した定子を内裏に呼び戻すと言い出します。
詮子、道長、蔵人頭の藤原行成(渡辺大知)にとっても初耳です。
道長が止めても一条天皇は聞き入れず、詮子も
お望みを叶えて差し上げよ
と道長に懇願します。
行成に対応を相談する道長。
出家者・中宮を代理に戻らせれば公卿たちからの反発は避けられません。
悩む道長に行成を定子を内裏の外にある職御曹司(しきのみぞうし)に入らせることを提案しました。
そうすれば 一条天皇が通うことができ、内裏ではないので他の女房たちの顔も立つというのです。
行成の提案通り、定子は娘の脩子(ながこ)と女房のききょう(ファーストサマーウイカ)を連れて職御曹司に入りました。
「恥知らず」と陰口を叩かれる定子。
職御曹司に通い詰める帝。
利用する男と尽くす男
まひろ は 引き続き周明から宋の言葉を教わっていました。
ある日、周明がまひろを抱き寄せ言いました。
早くまひろと宋に行きたい
このままではいつまでたっても宋には行けない
周明はまひろに朝廷が宋との交易を受け入れるよう左大臣(道長)に手紙を書いて欲しいと求めます。
「2人で宋に行くためだ」と言い口づけしようとす周明。
拒むまひろ。
あなたは嘘をついている
私を利用するために
愛情がないことは抱きしめられればわかる
とまひろは言います。
すると周明は態度を一変させ、傍にあった陶器の置物を叩き割りまひろの首筋に破片を突きつけます。
そしてまひろを居室に連れて行き「手紙を書け」と迫りました。
文を書かねばお前を殺して俺も死ぬ
私は目の前で母が殺されるのを見た
友も虫けらのようになぶり殺された
周明だって海に捨てられて命の瀬戸際を生き抜いたのでしょ
気安く死ぬなどと言わないで
言っておくが宋の国はお前が 夢に描いているような国ではない
宋は日本を見下し、日本人など歯牙にもかけていない
民に等しく機会を与える国など、どこにもないのだ
周明はそう言い捨て、去っていきました。
その日、まひろは利用されていたのかとショックで夕餉を取れませんでした。
心配する乙丸(矢部太郎)にまひろは「なぜ妻を持たないの?」と尋ねます。
乙丸はまひろの母・ちやは(国仲涼子)が殺されたことを口にします。
あの時私は何にもできませんでしたので
せめて姫様だけはお守りしようと誓いました
それだけで 日々 精一杯でございます
常に身近にいる乙丸がそんなことを考えていたとは、まひろは思いもよりませんでした。
私はまだ何もわかっていないのやも
二番目に好きな人との結婚が幸せ?
まひろの父・藤原為時(岸谷五朗)が越前巡察の旅から帰ってきました。
収穫の多い旅だった様子でまひろも喜びますが、この日は悲しい知らせも届いていました 。
かつてまひろが姉妹のように付き合っていたさわ(野村麻純)が亡くなったという文がさわの夫から届いたのでした。
さわの辞世の歌からはまひろにまた会いたいという思いが伝わってきました。
まひろは藤原宣孝の妻になると為時に告げました。
為時は仰天しその拍子に腰を痛めてしまいます。
為時はまひろが宣孝の妻になることに 難色を示しています
まひろは宣孝は「ありのままの自分を引き受けてくれると言った」と語ります。
思えば道長様とは向かい合いすぎて、求め合いすぎて、苦しゅうございました
宣孝となら穏やかに暮らせるとまひろは言います 。
周明ではない宋の医師の治療で回復した為時に朱仁聡(デュレンツォン・浩歌)が交易について判断を迫ってきます。
日本との公の交易が認められない限り自分たちは 帰国せず、宋の品物は二度と日本に届かない
まだ松原客館にいる周明は「まひろの 心の中に入ることができなかった」と詫びると朱が言います。
お前の心の中からも消え去ると良いな
為時は朱の主張をで道長に文を書き知らせます。
都の公卿たちは様子見することで話がまとまりました。
大河ドラマ『光る君へ』第25話 あらすじ
まひろ、帰京
長徳3年(997年)の秋。
藤原為時(岸谷五朗)は紙漉きの作業を見るためまひろ(吉高由里子)を連れて農家を訪れました。
越前の国守には租税として大量の紙が収められますが、規定量より多く収められていることに為時は気がつきます。
為時以外の国守たちは、租税分の紙を都に送った後、残りを売り私腹を肥やしていたのでした。
まひろは太宰府赴任中の藤原宣孝(佐々木蔵之介)も同じようなことをしていたと聞いていましたが、為時は違います。
まひろがたった1枚の紙をせがんでも許さず、紙漉きの村の村長に「余分な紙は返却する」と知らせに行きました。
ところが村長はこれを拒みます。
「役人の力を借りなければ 紙を売ることも都へ運ぶこともできません。
そのお礼として余分な紙を収めているのだから、返されては困る」
というのでした。
帰宅後、為時はまひろに「自分は世の中が見えていないようだ」と 漏らします
宣孝殿は精も濁も併せ飲むことができるゆえ太宰府でもうまくやっておったのであろう
お前はそんな宣孝殿に心をとらえられたのか
まだ捉えられてはおりませぬ
まひろは答えましたが、宣孝からは都に戻るようにとたびたび文が届いています。
都へ帰って宣孝の思いを確かめてみよ
都の屋敷に帰るとまひろの弟・藤原惟規(高杉真宙)といと(信川清順)が迎えてくれました。
いとの恋人の福丸もいます。
乙丸(矢部太郎)は越前から絹という女性を連れてきています。
そこへ宣孝が訪ねてきて、にぎやかな宴となりました。
不吉な予言
年が明けると安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)が内裏の清涼殿を訪れ一条天皇(塩野瑛久)に新年の挨拶をしました。
新しい春を迎え、帝の御代はその栄えとどまることを知らず、と天地の動きにも読み取れまする
道長が晴明を問いただすと「凶事が続く」と白状します。
凶事とは何だ?
地震か、疫病か、火事か、日食か、嵐か、はたまた大水か?
さすが左大臣様。それら全てにございます
邪気払いしても災いの根本を取り除かなければ無駄だと言うのです。
一条天皇と藤原定子(高畑充希)のことが思い浮かぶ道長。
帝を諫めたつまつり、国が傾くことを妨げるお方は左大臣様しかおられませぬ
私にどうせよと申すのだ
良いものをお持ちではございませぬか
お宝をお使いなされませ
意味深な言葉を残し晴明は去っていきました。
都に戻った藤原伊周(三浦翔平)は定子がいる職御曹司(しきのみぞうし)をかつての登華殿のように華やいだ場にして隆盛を取り戻そうと考えていました。
そのため伊周はききょう(ファーストサマーウイカ)に「枕草子」を書き進めるよう命じます。
その書き写しを広め、定子の元に面白い女房がいると評判を立てて、宮中の人々の興味を引こうと考えたのでした。
予言的中
そのころ道長は一条天皇から鴨川の堤の修繕許可を得ようとしていました。
大水に備えて一刻も早くと道長は焦りますが、一条天皇は定子のもとに入り浸り会うことさえままなりません。
蔵人頭の藤原行成(渡辺大知)はこの件を一条天皇の母・藤原詮子(吉田羊)から一条天皇に進言してもらおうとするのですが、詮子の病状が重く、叶いません。
仕方なく行成は一条天皇を追って職御曹司を訪ねるものの、激昂した 一条天皇に追い返されてしまいました。
9月1日、道長が案じていたことが起きました。
大雨で鴨川の堤が大きく崩れたのです。
公卿たちは定子が職御曹司に入って以来、悪いことばかりが続くと言い合いました。
業を煮やした道長が職御曹司を訪ねますと、そこには 一条天皇、定子、伊周、藤原公任(町田啓太)の姿もありました。
道長は一条天皇に大水の被害で多くの命と家や田原の失われたことを伝えました。
堤の修繕のお許しをお上に奏上しておりましたがお目通しなく、お願いしたくてもお上は内裏におられず、仕方なくお許しなきままに修繕につき進みましたが、時すでに遅く一昨日の雨でついに大事に至りました
道長は続けます。
早く修繕を始めなかった私の煮え切らなさゆえ民の命が失われました
その罪は極めて重く、このまま左大臣の職を続けていくことはできないと存じます
何を申すか
朕の叔父であり、朝廷の重臣であり、朕を導き支える者はそなたでなくして 誰がおろう
朕が悪い。こたびのことは許せ
道長は後には引きません。
この先もお上が中宮様にお心を奪われ政をおろそかにされるなら、私の力では到底お支え申し上げることができませぬ
この日から3度にわたって道長は辞表を提出しますが、一条天皇は受理しませんでした。
策士・宣孝
そんなある日のこと、
道長が外出を終えて内裏に戻ると藤原宣孝が訪ねてきていました。
除目で山城守に任命された礼を言いに来たのだと言います。
親戚である藤原朝臣為時も越前守に任じていただき早1年。
つつがなく勤めておるようにございます
おかげ様で為時の娘も夫を持てることになりました
道長は動揺を隠しを隠し「めでたいことだ」と言います。
宣孝は意味ありげに笑みを浮かべます。
なんだ?
実は私なのでございます
為時の娘の夫にございます
その言葉に道長は衝撃を隠しきれませんでした。
宣孝は内裏を後にしてまひろを訪ね、道長に会ってきたことを告げました。
お前を妻としたい旨を申し伝えたら「つつがなく」と仰せであった
そのようなことを何ゆえ左大臣様に
挨拶はしておかねば後から意地悪されても困るからな
まひろは腹を立てて宣孝を追い返しました。
宣孝は慌てる様子もなく笑いながら帰っていきました。
転機
まひろのもとに道長からの大量の婚礼祝いが届けられました。
持参したのは 道長が「三郎」と名乗っていた頃から仕える百舌彦(本多力)です。従者を従えている百舌彦を見てまひろは驚きます。
偉くなったのね
長い月日が流れましたので
屋敷の中に運び込まれた祝いの品々の上に文が置かれていましたが、型通りの祝いの言葉が綴られているだけで、道長の筆跡でもありません。
この日まひろは文を乙丸に託し、酒や食事の支度を調えます。
訪ねてきたのは宣孝です。
わたしは不実の女でございますが、それでもよろしゅうございますか?
わしも不実だ。あいこである
まことに^^
宣孝に抱き寄せられたまひろは、その身をゆだねます。
翌日は、不吉な日食でした。
大河ドラマ『光る君へ』第26話 あらすじ
天変地異
長徳4年(998年)10月1日。
日食と地震が同じ日に都を襲いました。
藤原為時(岸谷五朗)の屋敷も地震の被害を受けましたが、まひろ(吉高由里子)の夫となった藤原宣孝(佐々木蔵之介)の経済力のおかげですぐに修繕が行われました。
宣孝は贈り物を抱えてたびたび まひろを訪ねてきており、2人は仲睦まじく過ごしています。
「良きもの」とは
大水と地震による都の死者数は100人を超え、
道長(柄本佑)は被災者の救援のための仕事に追われていました。
道長は安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に聞きます。
天変地異 はいつまで続くのか?
一条天皇の心の乱れが収まれば 天変地異 も収まります
一条天皇(塩野瑛久)はあいかわらず中宮・藤原定子(高畑充希)がいる職御曹司に通い詰めていました。
左大臣様は良きものをお持ちと申しました
良きものとは、左大臣様の一の姫・彰子様(見上愛)にございます
彰子を一条天皇に入内させれば事態は好転すると晴明は言います。
ありえぬ
私には見えまする
彰子様は朝廷のこの先を背負って立つお方
道長は驚き戸惑います。
彰子はまだ11歳と幼く、大人しく無口な娘です。
とても晴明の言うような力があるとは思えません。
話を聞いた道長の姉・藤原詮子(吉田羊)は
身を切れ
と即答。
むごい…
道長もついに血を流す時が来たということよ
これまでの道長は自らの手を汚すことなく幸運が重なって地位を手に入れてきただけだと言うのです。
先のことはわからない
土御門邸に帰宅すると子どもたちがにぎやかに道長を迎えます。
彰子だけは言葉を発さず、幼い弟たちにバカにされている様子。
妻の源倫子(黒木華)に
世の安寧のために娘の彰子を入内させるつもりだ
と切り出した道長。
それでは彰子が不幸になりまする
これは生贄だ
手塩にかけた尊い娘ならばこそ値打ちがある
どうしても彰子を生贄になさるなら、私を殺してからにしてくださいませ
倫子は母 藤原穆子(むつこ・石野真子)の居室を訪ね、涙ながらに訴えました。
すると穆子は
入内すれば不幸になるとは限りませんよ
と答えます。
ひょっこり中宮様が亡くなったりしたら?
何がどうなるかはやってみなければわからないわよ
目を丸くする倫子に穆子は続けます。
中宮様は帝よりも4つもお年が上でしょ?
今は首ったけでもそのうちお飽きになるんじゃない?
先のことは分かりませんよ
血筋のために
内裏では、一条天皇が体調を崩し
側近である蔵人頭・藤原行成(渡辺大知)が看病しています。
譲位して定子と静かに暮らしたい
と一条天皇は漏らしますが
在位のまま政に専念すべきだと行成は進言します。
さらに中宮様以外の女御様方をまんべんなく愛でられ、1日も早く皇子をもうけられませ
帝に皇子が生まれなければ、東宮・居貞親王様の息子である敦明親王が次の東宮となり、一条天皇のお父上・円融院様の血筋は途絶えてしまいます
行成にその説き伏せられ、一条天皇は譲位を思いとどまりました 。
この行成の説得は、道長からの命令によるものでした。
3人目の”あきこ”
娘の入内を藤原実資(さねすけ・ロバート秋山)にも期待されます。
彰子本人に入内の件を伝えると、驚く様子もなく
仰せのままに
と答えるばかり。
事の重大さが分かっていないようにも見えますが、表情が乏しく口数も少ないのでよくわかりません。
そんな彰子を入内させることに道長は内心不安を覚えていました。
入内に向けて
道長の進言で「長保」と改元された正月。
都は雪景色。
一条天皇が密かに中宮・定子を内裏に招き入れた結果、安倍晴明から定子が懐妊したようだと知らされる道長。
11月頃に皇子が生まれるだろうと安倍晴明は言います。
道長は敢えて同じ月に彰子を入内させようと決め、帝に申し入れをしました。
定子に執着し続ける一条天皇は思い悩みますが、道長の影響力の大きさを考え承諾します。
道長は倫子に彰子の入内が11月1日に決まったことを伝えます。
中宮様のお加減がお悪いとの噂がございますけれど、まさかご懐妊ではありませんわよね
ご懐妊であろうとも入内は決行する
ご懐妊ならばその子を呪詛したてまつってくださいませ
呪詛は殿のご一家の得手でございましょう
そのようなことをせずとも、彰子が帝も内裏もお清め致す
殿の栄華のためではなく、帝や内裏を清めるためなのでございますね
それならば自分も腹をくくると言う倫子。
中宮様の邪気を払いのけ、内裏にあでやかな彰子の後宮をつくりましょ
夫婦の思いは一つになりました。
長保元年(999年)2月9日。
入内に先駆けて彰子の裳着(もぎ・女性の成人の儀)の儀式が盛大に行われました。
宣孝とまひろ
宣孝はまひろのもとへ通い続けていましたが、
まひろが孤児たちに食べ物を分け与えていることにいい顔をしません。
そして、まひろから受け取った文を持ち歩きあちこちで見せていると言い出しました。
わしはお前のような学に優れたおなごを妻にしたことを皆に自慢したいのだ
それを聞いたまひろは、これまでに送った文をすべて返してほしいと迫ります。
そうでなければお別れいたします
何を言うておるのかわからぬ
まひろが腹を立て宣孝を追い返すと、この日から宣孝の足は遠のきます。
ある日、まひろの弟・藤原惟規(のぶのり・高杉真宙)が清水の市で宣孝を見かけたと知らせます。
とても若い女性に絹の反物を買ってやっていたとのこと。
夫婦の間では、許す許さない、別れる別れないという文が飛び交います。
久しぶりに訪れた宣孝の手には絹の反物がありました。清水の市で見つけたとのこと。
若いおなごに反物を買われたついでに私にも…
ありがとうございます
皮肉たっぷりのまひろと
わしが悪かった
せっかく久しぶりに来たのだ
もっと甘えてこぬか
わたしは殿に甘えたことはございませぬ
お前のそういう可愛げのないところに左大臣様も嫌気がさしたのではないか
分かるなあ
地雷を踏む宣孝。
まひろは宣孝に香炉の灰を投げつけます。
これ以降、宣孝はますますまひろから足が遠のくことになったのでした。
石山寺へ
いとはまひろに宣孝への詫び文を書くよう勧めます。
想いをいただくばかり、己を貫くばかりでは誰とも寄り添えませぬ
…己を曲げて誰かと寄り添う…
それが愛おしいということでございましょう
まひろは、石山寺で出会った藤原寧子(やすこ・財前直見)を思い出します。
『蜻蛉日記(かげろうにっき)』を書いた寧子は、道長の父・藤原兼家(段田安則)の妾であり、その日々についてまひろに語ってくれました。
まひろは、また石山寺に参詣してみようと思い立ち、乙丸、福丸、きぬを誘って旅にでます。
久しぶりの石山寺。
まひろは一心にお経を唱えます。
そこで運命の再会を果たします。
大河ドラマ『光る君へ』第27話 あらすじ
ダブル不倫
まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)は石山寺の境内を歩きながらいろいろな話をします。
やせた道長を気遣うまひろ。
道長はまひろの近況を熟知しており、心の中も見透かしているようでした。
偉くおなりになって、人の心を読めるようになられたのですね
偉くなったからではない
昔話や越前での暮らし、宋の言葉のことなど話は尽きません。
お健やかに
お前もな
いったん別れた2人ですが、
いとたちのもとに戻りかけたまひろを道長が強く抱き寄せました。
まひろは受け入れ、肌を重ねます。
今一度…俺の傍で生きることを考えぬか?
お気持ちうれしゅうございます
でも…
また振られたのか
晴明の思うがまま
3月。
藤原定子(高畑充希)の懐妊が明らかになりました。
職御曹司(しきのみぞうし)を訪れた一条天皇は大喜び。
子を生むことなど許されぬ身で
そんな定子を励まし、ききょう(ファーストサマーウイカ)に定子の世話を託します。
皇子だという安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)の予言を思い出し動揺する道長。
妻である源倫子(黒木華)は意外にも気丈でした。
彰子(見上愛)こそが内裏を仕切る后
殿と私が力を合わせれば、世を捨てたはずの中宮様が産む皇子なぞ怖くはございませぬ
気張りましょう!
倫子は赤染衛門(凰稀かなめ)に、彰子の育成を託します。
皆が振り返るような華やかな艶と明るく声を出して笑うようにと、
うふふふふ
身振りや声の出し方など倫子みずから手本を示しますが、おとなしい彰子には難しく…。
素直なまひろ
藤原宣孝(佐々木蔵之介)が久しぶりにまひろを訪ね、大きな役目を任せられ忙しくなったと伝えます。
さらりと「左大臣様のお計らい」という宣孝ですが、まひろは祝いの言葉を述べ、持参した土産を素直に喜びます。
いとから言われた「己を貫くばかりでは、誰とも寄り添えない」という言葉に従ったのでした。
心を入れ替えました
憎まれ口を叩かぬまひろは、何やら恐ろしいのう
あまり人並みになるなよ
と憎まれ口を聞きながら仲直りします。
まひろ懐妊
新緑の季節。
まひろは気分がすぐれなくなってきました。
懐妊です。
授かったのは2月だといとに教えられたまひろは、石山寺での出来事を思い出します。
黙ったまま、いけるところまでいくのでございますよ
まひろは宣孝に懐妊を伝えます。
生まれるのが師走だと伝えても
良い子を産めよ
と体を気遣ってくれる宣孝。
ひとり月を見上げるまひろ。
屏風
9月。
内裏の清涼殿では、晴明が彰子の入内は11月1日がふさわしいと帝に奏上していました。
道長と倫子は入内を盛り上げるため豪華な道具を設え、
公卿たちが詠んだ歌を藤原行成(渡辺大知)に清書させ屏風をつくろうと考えます。
公卿たちが名入りの歌を献じたことを示せば帝も彰子に一目置かれよう
藤原実資(ロバート秋山)は「前例がない」と断わりましたが、思いがけず花山院(本郷奏多)からも歌が届けられ、屏風は完成。入内を華やかに彩ります。
こうして11月1日に彰子が入内し、6日後の11月7日に定子は皇子を出産します。
伊周と隆家
平生昌の屋敷で出産した定子を藤原伊周(三浦翔平)・藤原隆家(竜星涼)兄弟が訪ねてきます。
伊周は
これで左大臣も俺たちは無下にはできまい
皇子様が東宮になられれば、再び我らの世となる
と言いますが、隆家は慎重です。
生まれた皇子様が東宮になられるということは、帝がご退位されるということですよ
帝が退位あそばせば姉上の力も弱まる
伊周は怒り出します。
マザコン卒業
帝の母である藤原詮子(吉田羊)は一条天皇に皇子誕生の祝いの言葉をかけます。
ですが一条天皇は
朕は母上の仰せのまま生きてまいりました
そして今、公卿たちに後ろ指をさされる帝になっております
…母上から逃れたくて朕は中宮に救いを求め、のめり込んでいったのです
自分は、父・円融天皇に愛されなかった母の操り人形、慰み者だったと言い放ちます。
その後、彰子のところへ向かう一条天皇。
彰子の後ろには豪華な屏風があります。
一条天皇は彰子に声をかけますが、彰子はただ「ハイ」としか答えず、会話が続きません。
道長の娘
道長は定子の出産で弱気になっています。
すると安倍晴明は、彰子を中宮にすれば良いと提案します。
これは「一帝二后」という驚くような案でしたが、
世の平安のためなら先例がなくても、と行成は賛成します。
年の暮れ。
源倫子は5人目の子・威子を出産。
同じ日、まひろもひっそりと姫を産んだのでした。
大河ドラマ『光る君へ』第28話 あらすじ
罪悪感
藤原為時(岸谷五朗)の屋敷では、まひろ(吉高由里子)が慣れない乳飲み子の世話に 四苦八苦しています。
乳母のあさに「任せて」と言われても自分でやってみたいまひろ。
弟の藤原惟規(高杉真宙)に
赤子のおでこのあたりが宣孝様に似ている
と言われ、曖昧に微笑むしかありません。
一帝二后へ
土御門邸では藤原詮子(吉田羊)が藤原道長(柄本佑)から娘・藤原彰子(見上愛)を中宮にする話を聞き、若い頃はぼんやりしていた弟がすごいことを考えるものだと驚いています。
ですが、自分が円融天皇から顧みられず辛い立場であったことから「一帝二后」も悪い話ではないと一条天皇に文を書く約束をしてくれました。
文を受け取った一条天皇(塩野瑛久)は、側近の藤原行成(渡辺大知)に意見を求めます。
行成が返事に困っていると一条天皇は怒りをあらわにします。
后を2人立てるなぞ受け入れられるものではない!
朕の后は定子1人である!
にも関わらず行成が前向きな返答を道長に伝えたことで、道長は彰子の中宮への道を作るよう行成に命じます。
道長の頼みを無碍には断れない一条天皇は、彰子を訪ねます。
この日、彰子は赤染衛門から『古今和歌集』を学んでいました。
帝に対しても愛想を振りまかない彰子。
帝が笛を吹いてやっても喜びません。
そなたはなぜ朕を見ないのだ?
笛は聞くもので、見るものではございませぬ
赤染衛門(凰稀かなめ)は慌てます。
左大臣はそなたが中宮になることを望んでおる。
そなたはどうなのだ?
仰せのままに
このやりとりが帝の心を動かします。
後日、行成に
「父親の言いなりになっている彰子が母の言いなりで育った自分を見ているようだ」
と話す一条天皇。
朕にとって愛しきおなごは定子だけである
されど彰子を形のうえで后にしてやってもよいやもしれぬ
この話を聞いて喜ぶ道長は、意識を失いかけます。
このところの度重なる心労で、体調に異変をきたしていたのでした。
年が明けました。
長保2年(1000年)
帝からの正式な詔はまだですが、道長は安倍晴明から2月25日という日取りがよいと聞かされます。
定子を傷つけるのは忍びないとまだ決めかねている一条天皇に、行成は苦言を呈します。
帝がしもじもの者のように妻を想うことなどあってはなりませぬ
本来皇后が大原野社の祭祀の神事を務める習わしがあるのに、定子様が出家して以来、神事が行われていない。天変地異の災害は神の祟りではないか。
中宮・定子様への民の不満が募れば、定子様は追い出され二度と会えなくなるかも…。
その説得が功を奏し、一条天皇は決断します。
2月2日。
藤原宣孝(佐々木蔵之介)は宇佐八幡宮の業務を終えまひろのもとに駆けつけると、娘に「賢子(かたこ)」と名付けます。
父上だぞ
と娘を慈しむ夫を見たまひろは
これでよかったんだ
と自分に言い聞かせます。
内裏に出仕した宣孝が仕事の報告とともにまひろの出産を道長に伝えると、道長の胸は騒ぎます。
道長、危篤
2月10日。
しきたりにより”立后の宣命”を受けるため、いったん土御門邸に戻った彰子。
その隙に一条天皇は、内裏に定子と息子の敦康、脩子を内裏に招き入れ、謝ります。
この日、定子は3人目の子どもを身ごもりました。
2月25日。
彰子の立后の儀が盛大に執り行われました。
そのあと高松殿の源明子(瀧内公美)を訪れた道長は、胸の痛みを訴え気を失ってしまいます。
急ぎ高松殿に向かう源倫子(黒木華)。
ですが、病状は重く、土御門邸に連れて帰ることもできません。
道長危篤という話はまたたくまに広がります。
宣孝から話を聞いたまひろは、逝かないでほしいと祈り続けます。
道長は夢を見ていました。
亡き父・兼家(段田安則)と亡き兄・道隆(井浦新)、道兼(玉置玲央)に呼ばれ向かいかけたところにまひろの「いかないで」「お忘れなの?わたしとの約束」という声が聞こえます。
翌日、意識を取り戻した道長は、土御門邸に帰ります。
定子、死す
妊娠初期。
食欲のない定子のためにききょう(ファーストサマーウイカ)は「青ざし」というお菓子を持っていきます。
年の暮れ。
憔悴した定子は姫皇子を出産して間もなく世を去りました。
25歳でした。
死後、兄の藤原伊周(三浦翔平)は、部屋の几帳に
恋ひなむ涙の 色ぞゆかしき
という悲しい歌を見つけます。
なにゆえわれらばかりがこのような目に遭わねばならぬのか!
何もかもあいつのせいだ
ききょうがあいつとは誰かと問うと
左大臣だ!
左大臣が大事にしているものをこれから俺がことごとく奪ってやる!
大河ドラマ『光る君へ』第29話 あらすじ
春はあけぼの
長保3年(1001年)正月。
清涼殿では 一条天皇の無病息災を願う”御薬の儀」を行い、藤原宣孝(佐々木蔵之介)も出席していました。
参列後、宣孝はよちよち歩きの賢子と遊びながらまひろ(吉高由里子)に内裏の話をきかせました。一条天皇(塩野瑛久)が悲しみに暮れ憔悴しているという噂、一時は危篤だった藤原道長(柄本佑)は回復し息災だということ。
ききょう(ファーストサマーウイカ)がまひろを訪ねてきました。
ききょうは、定子の遺児である脩子、媄子の世話をしながら『枕草子』の続きを書き続けていると言います。
定子を亡くした気を失うほどの悲しさを、書くことでなんとか生きてきたというのです。
もともと「定子様を慰めるために四季折々のことを書き綴ってはどうか」とまひろから提案された『枕草子』。
ききょうはまひろに読ませるために持参していました。
そこには宮中での輝くような日々が描かれていました。
生き生きした描写に感心したまひろですが、定子の影の部分も知りたいと言います。
人には光もあれば影もあります。
人とはそういう生き物なのです。
そして複雑であればあるほど魅力があるのです
ですが、ききょうは定子の華やかな部分だけを人々の心に残したいと話します。
また、道長に一矢報いたいという気持ちもあると言いました。
藤原伊周・隆家兄弟を左遷し、定子を一条天皇から引き離した道長が定子の命を奪ったのだと断言し、まひろに助言します。
まひろ様も騙されてはなりませんよ
左大臣は恐ろしき人にございます
宣孝、死す
父・為時は正月の除目では越前守には任ぜられませんでしたが、
宣孝は、官職を得られない父の代わりに支えると頼もしく言ってくれ、翌朝、国守を務める山城へと向かいます。
5月。
宣孝の本妻から、宣孝が急な病で亡くなったと連絡が来ます。
弔いの儀も済んでいると聞かされたまひろは呆然とします。
後日、道長の使いとして百舌彦(本多力)が訪ねてきます。
百舌彦は、越前での役目を終えた為時へのねぎらいと、夫を亡くしたまひろへの追悼を伝えます。
そして、自分の嫡男・田鶴の漢籍の指南を依頼します。
ですが為時はこの申し入れを拒みます。
私は左大臣様の御父君、亡き関白・藤原兼家様にもお雇いいただいたことがございます
されど正式な官職を得るまで耐えきれなかった己を恥じております
為時には、花山天皇の様子を知らせる間者をして苦悩した過去がありました。
百舌彦が呆れて帰った後、まひろは父と話し合います。
為時はまひろの気持ちを考えると、道長の本妻との息子の指南役にはなれないと話しました。
ですが、母となったまひろは、生計のため申し出を受けてほしいと頼みます。
さて、道長の本妻・源倫子(黒木華)は高価な品々を持って娘・藤原彰子(見上愛)のいる藤壺(後宮の一つ)に通い詰めていました。
それでは一条天皇が訪ねにくくなると道長に言われた倫子は、帝が過ごしやすい場となるように華やかにしているのは自分だと憤慨します。
道長が源明子の屋敷で倒れて以来、夫婦の間にすれ違いが生じていました。
忘れ形見の養育
道長の姉・藤原詮子(吉田羊)は体調を崩しています。
定子の忘れ形見・敦康親王を彰子に養育させるのよ
昔、父上が懐仁(一条天皇)を東三条殿に人質に取ると仰せになったの
父上と同じことはしたくありませぬ
お前はもう父上を超えているのよ
そう言われ、娘・彰子に敦康親王を託すことを一条天皇に進言する道長。
敦康親王様がお健やかであれば、亡き皇后・定子様のご鎮魂にもなりまする
こうして敦康親王は 彰子といっしょに藤壺で暮らすことになったのでした。
伊周の恨み
嫡男・松に舞の稽古をつける兄・藤原伊周(三浦翔平)が、「一族の再興のため」と叱責するのを聞いた藤原隆家(竜星涼)。
左大臣の権勢はもはや揺るがぬぞ
内裏に官職を得るまではとりあえずひっそりしているほうが利口だと思うがな
ですが、怒りに燃える兄の耳には入りません。
そこへききょうが訪ねてきました。
ききょうは、在りし日の定子の栄華を長く人々の心に伝えるため『枕草子』を宮中に広めたいと申し出、伊周は快諾します。
詮子、死す
10月9日。
土御門邸では藤原詮子(吉田羊)の40歳のバースデイパーティ”四十の儀”が執り行われました。詮子の息子・一条天皇が祝いの言葉を述べます。
源倫子の子・田鶴と源明子の子・巌が舞を披露しますが、田鶴がうまく舞えず泣いてしまいます。
道長が詫びた時、詮子が苦しげにうめき倒れこみます。
駆け寄った帝を制して詮子が言います。
私に触れてはなりませんぬ
病に倒れたものに触れ、穢れともなれば政は滞りましょう
あなた様は帝でございますぞ!
仮病ではなく本当に病に伏してしまった詮子は、伊周の恨みを鎮めるため位を戻してやってほしいと道長に頼みました。
道長はこれを聞き入れますが、女院・詮子の波乱の人生は幕を閉じます。
まひろ、筆をとる
伊周は久しぶりに一条天皇に対面すると『枕草子』を手渡します。
かの清少納言が皇后・定子様の思い出をさまざま記したものにございます
どうぞおそばにお置きくださいませ
さて、まひろは賢子に『竹取物語』を読み聞かせていました。
漢詩を嫌がる賢子も『竹取物語』は楽しんでいます。
そこでまひろは自分でも物語を書こうと思い立ち、筆をとるのでした。
大河ドラマ『光る君へ』第30話 あらすじ
雨乞いの代償
1004年(寛弘元年)
まひろ(吉高由里子)が夫を亡くして3年。
都は干ばつに襲われていました。
まひろの父・為時(岸谷五朗)の屋敷の井戸も枯れ、
往来では水を奪い合う者、行き倒れる者が出て、危機感が募ります。
200年ぶりだという帝自らの雨乞いも効果なく、公卿たちの間では噂になっていました。
頼みの綱は安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)ですが、すでに隠居しています。
藤原道長(柄本佑)は、晴明の屋敷に赴き雨乞いを頼みます。
すると
何をくださいますか?
私だけがこの身をささげるのではなく、左大臣様もなにかを差し出してくださらなければ嫌でございます
…私の寿命、10年をやろう
この答えに晴明は雨乞いを引き受けます。
晴明が夜を徹して祈り続けると、朝、恵みの雨が降り出し、都は歓喜に包まれます。
『カササギ語り』
為時が6歳になった孫の賢子と遊んでいます。
まひろは「甘やかさずしっかり読み書きを教えてほしい」と言い残し、四条宮へ向かいます。
まひろは、月に一度、四条宮で開かれる藤原公任(町田啓太)の妻・敏子が主催する勉強会で和歌を教えていました。
そこへシースルーの袿をまとったあかねが色香を振りまきながらやってきます。
先生は歌を詠むとき、そんな難しいことをお考えなんですかぁ?
わたしは思ったことをそのまま歌にしているだけなんですけれど
あかねは後に和泉式部と呼ばれる歌人です。
夫がある身でありながら、東宮の弟・為尊親王と恋に落ち、彼の死後はその弟の敦道親王と熱愛する恋多き女。
あかねは今、大評判の『枕草子』の写本を敦道親王からもらったけれど、あまり面白くないと言い出します。
先生の『カササギ語り』のほうがはるかに面白うございますよ
敏子も賛同します。
この頃のまひろは、
「カササギが人間の世界で見聞きした出来事を語る」
という設定の物語を作って女房たちに聞かせていました。
女房たちにせがまれてまひろは喜びを感じています。
冷静な弟
清涼殿では、亡き妻・藤原定子(高畑充希)を思い繰り返し読んでぼろぼろになった『枕草子』を手にした一条天皇(塩野瑛久)が、藤原伊周(三浦翔平)藤原隆家(竜星涼)兄弟を招き、語らい合っています。
生まれ変わって再び定子に出会い、心から定子のために生きたい
『枕草子』をお読みくださりどうぞ華やかで楽しかった日々のことだけをお思いくださいませ
笑顔のお上を定子様はご覧になりたいに違いございませぬ
おもねる伊周を隆家が冷ややかに見ています。
隆家は帝と兄・伊周の様子を道長に伝えます。
道長は隆家を信用しますが、
藤原行成(渡辺大知)は隆家が道長を取り込もうとしているのではと警戒します。
疑心暗鬼は人の心を曇らせると注意する道長。
伊周から呪詛されていることを知りません。
親心
道長の娘である中宮・藤原彰子(見上愛)は17歳になり、内裏の藤壺で亡き定子の子・敦康親王と暮らしていました。
一条天皇は息子である敦康親王に会いに藤壺に来ますが、彰子を気に掛ける様子はなく、彰子は彰子で帝に話しかけることはありません。
定子が亡くなって4年が過ぎても深まらない2人の仲に、源倫子(黒木華)は実行に移します。
清涼殿で一条天皇に対面する機会を設けてもらったおり
中宮への数々の心遣いありがたく思っておる
もったいないお言葉 痛み入ります
そのようなお言葉をどうか中宮様にもおかけくださいませ
幼き娘を手放しお上に捧げ参らせた母のただ一つの願いにございます
と爆弾発言。
道長は驚きますが、倫子は続けます。
出過ぎたことと承知の上で申し上げます
どうかお上から中宮様のお目の向く先へとお入りくださいませ
母の命をかけたお願いにございます
そのようなことで 命をかけずとも良い
そなたの気持ちはようわかった
後で道長は倫子を叱りましたが、倫子は
結果がどうなろうと待っているだけよりもいいわ
わからぬ…
殿はいつも私の気持ちはお分かりになりませぬゆえ
そう言い捨てて出ていきました。
どうしたものかと思い悩む道長の脳裏にまひろから言われた
偉くおなりになって人の心を読めるようになられたのですね
という言葉が蘇ります。
思い悩んだ道長は、安倍晴明に相談します。
すると晴明から、今は闇の中にいる状態だがいずれ光がさすと言われます。
今、あなた様のお心に浮かんでいる人に会いにお行きなさいませ
それこそがあなた様を照らす光にございます
焼け木杭に
気心のしれたF4、藤原公任(町田啓太)藤原斉信(金田哲)藤原行成(渡辺大知)を土御門邸に招いた道長は、一条天皇の目を娘・彰子に向けさせる相談をしています。
行成は、書物の好きな帝のために『枕草子』を超えるおもしろい読み物を用意してはどうかと提案。
すると公任が、妻が開いている和歌を学ぶ会で話題になっている読み物があり、その書き手が「藤原為時の娘」だと話します。
前の越前守・藤原為時の娘だ。
しょせん女子供の読むものだが、妻も先が楽しみだと心奪われておる
為時邸では、まひろが娘の賢子に文字の書き方を教えていました。
賢子は為時に甘え逃れますが、まひろは
「学問を身につけ、己の生き方を己で選び取れるように」
と厳しくしているのでした。
まひろは、公任の屋敷であかねから恋しい親王への思いを聞いています。
彼女のように人を愛し、思いのまま生きたかったと思うまひろ。
若き日の道長との思い出が蘇ります。
火がつく
ある日、まひろが『カササギ語り』を書き綴っていると、賢子が「おはじきがしたい」とせがんできました。
謝りながらも執筆を続けるまひろ。
だだをこねる賢子をいと(信川清順)が無理やり連れて行きました。
その夜のこと。
まひろが水差しに水を汲もうと部屋を出た隙に賢子が部屋に入り、『カササギ語り』が書かれた紙を1枚部屋の燭台にかざして火をつけました。
そしてその火でまひろが書き溜めた原稿を燃やして逃げてしまいます。
戻ったまひろは逃げる賢子と燃え上がる炎を見て驚き、必死に 火を消そうとします。
為時といとも駆けつけて火の手は何とか収まりましたが、泣き続ける賢子をまひろは厳しく叱ります。
思い通りにならないからと言って火をつけるなどとんでもないことです
人のやることではありませんよ
「ごめんなさい」と謝る賢子。
翌日、為時は賢子を連れて賀茂神社へ参拝に出かけました。
まひろには存分に書くようにと言い、いとときぬも連れて行ったのですが、まひろはいざ 1人になると心が乱れて筆が進みません。
気分を変えようと庭へ出てみると、門の方から狩衣姿の男性が。
それは、身分を隠すために変装した道長でした。