2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の第8話あらすじ
を紹介いたします。
順次あらすじを公開していきますので、お楽しみいただけますと幸いです。
※ネタバレ含みます
※各話も公開中
大河ドラマ『べらぼう』第8話 あらすじ
『籬(まがき)の花』vs『新吉原細見』
今戻った
ヨレヨレの鱗形屋(片岡愛之助)が書物問屋の須原屋(里見浩太朗)に支えられて帰宅すると、家族や店の者たちが駆け寄ります。
書物問屋(仏教、儒教、歴史、医学、辞典など勉強系の本を扱う)
の主。
杉田玄白『解体新書』や平賀源内の本を刊行
吉原の九郎助稲荷では
お頼みんす
花の井(小芝風花)が細見『籬(まがき)の花』のヒットを願い、手を合わせています。
そこへ売り切れを知らせる空の風呂敷をブンブン振りながら蔦重(横浜流星)がやってきました。
まだ本屋に置かれただけで売れたわけじゃない
と慎重な花の井に
喜んでくれると思って一番に言いに来たのによ
とふてくされる蔦重。
花の井は「瀬川」になった自分を見物に来る客に細見を買ってもらえるよう
助太刀いたしんす
と協力する気持ちを表しました。
蔦屋に戻ると養父・駿河屋(高橋克実)が来ています。
蔦重は細見『籬の花』がすべて本屋に仕入れてもらえたことを報告し、
駿河屋から鱗形屋の処分について聞かされます。
鱗形屋が『節用集』の偽板の件を訴えた柏原屋にわび金を払ったので、『節用集』の板木と2800冊の摺本の召し上げという軽い裁きで済んだとのこと。
一方、鱗形屋には、鶴屋(風間俊介)が来ています。
鱗形屋は須原屋の尽力のおかげで軽い処分で済んだことを説明します。
鶴屋に『籬の花』を見せられると、負け惜しみを言って悔しがる鱗形屋。
鶴屋は蔦重のことを
本屋なんてもんじゃない
吉原の引札屋(ちらし配り)だとこきおろします。
西村屋(西村まさ彦)では、自前の『新吉原細見』が客に好評で喜んでいます。
ですがその時、店頭にドンドンと太鼓を響かせた派手な呼び込みが現れました。
蔦重です。
『新吉原細見』の値段で『籬の花』が2冊買えること、
襲名した「瀬川」が載っているのも『籬の花』だけだと宣伝し、
蔦重はますます西村屋の恨みを買うことになります。
五代目瀬川の花魁道中
その夕方の仲の町は
『籬の花』片手に五代目瀬川の花魁道中を見ようと待ち構えている男たちでごった返していました。
外八文字(いったん内側に向けたつま先を外側に開いて歩くこと)で歩く瀬川。
沸き上がる歓声。
蔦重が細見を売り、瀬川が客を引き付ける。
吉原繁盛に大きく貢献しているのは間違いなくこの2人です。
蔦重は女郎屋の主人たちから「蔦重大明神」とまで持ち上げられています。
混雑する仲の町で、蔦重は平賀源内(安田顕)&小田新之助(井之脇 海)に再会しました。
2人は瀬川が花の井だと知り驚きます。
この繁盛は花の井のおかげです
どうしたら彼女に報いることができるのか
とつぶやく蔦重に源内は
いっそお前さんが身請けしてやりゃどうだい
と軽く言いますが、瀬川クラスの女郎ともなると1000両を超える大金が必要です。
さらに、子供の頃一緒になろうと考えなかったのかと問われた蔦重が
吉原もんは女に惚れたり誰かを自分のものにするような心根を抜かれちまう
女に惚れたことはない
と答えると、花の井の思いを知る源内は
虚しいね
とつぶやきました。
江戸時代には、身売り的年季奉公人が身代金の返済によって契約を解除することを身請けと呼んでいました。
落籍(らくせき)とも呼ばれます。
芸者や遊女などの身代金や前借金を代わりに支払い、勤めから身を引かせます。
身請け金は、身代金(前借金)以外の付加借金などが加算されましたが、明確な算出基準はありませんでした。
身請けは、遊女の中でも一握りの特別な女性たちだけが得られたものでした。高級遊女の身請けには1000両以上を要したという記録があり、身請け後に離縁する場合の生活保証を明記した身請け証文が伝えられています。
女郎の報われ方
夜明けの松葉屋、瀬川の部屋。
客が高いびきで寝ている隣で、
次々と客の相手をする瀬川は疲れきりため息をつきました。
体の節々が痛み、不満がこぼれます。
ふと目をやると客の『籬の花』。
瀬川は売れたと喜ぶ蔦重の顔を思い出し、気合を入れて身を起こします。
貸本業の伺いで松葉屋に来た蔦重は、瀬川が疲れていることを女郎たちから聞かされます。
他の女郎たちも掛け持ちをしたり、きつい客を相手にしているとのこと。
蔦重に「女郎たちの報われ方」を聞かれた義兄・次郎兵衛(中村蒼)は、女郎が報われるのは
身請けより間夫(まぶ:遊女の恋人)だ
と言い切ります。
蔦重は瀬川の間夫など思い浮かばず、お礼には子供の頃のように本を贈ろうと思いつきます。
同じ頃、瀬川は部屋で子供の頃に蔦重にもらった古い『塩売文太物語(しおうりぶんたものがたり)』を読み、束の間のリラックスをしていました。
一方 、田沼の屋敷では田沼意次(渡辺謙)が源内と面会しています。
日光社参の準備に愚痴をこぼす意次に、吉原の瀬川の花魁道中を例に出し
社参の道中も見世物にすれば金になるのでは?
と提案する源内。
宿場の商売を盛り立て南鐐二朱銀を流通させるチャンスと見た意次は、急にやる気が湧いてきます。
後日、蔦重は須原屋から鱗形屋の事件の顛末を詳しく聞きました。
裏切ったのは、小松松平家で、罪をすべて鱗形屋に押し付けたということでした。
どうやら鱗形屋も蔦重が密告したわけではないとわかっているようだと付け加えました。
さらに須原屋は、鱗形屋は須原屋と同じ江戸生まれの本屋だという義理で、奉行との仲介をしたと話します。
蔦重は瀬川に贈る本の相談にのってもらいます。
鳥山検校と『金々先生栄花夢』
鳥山検校(市原隼人)と瀬川の初会(初顔合わせ)の場が設けられました。
鳥山検校は幕府公認の高利貸しで財をなした「盲の大親分」です。
まるで目が見えているかのような所作や言葉に瀬川は驚きます。
気配で察知できると話す検校。
「金の山」だと思って対応するつもりだった瀬川ですが、意外にも検校は品がよく、本や双六などを持参して場は和やかに進みます。
検校(けんぎょう)とは:
荘園や寺社などを監督する盲官の最高位の役職。
幕府により手厚く保護されていました。
「検校」には高利の金貸しが認められており、収入の低い御家人や小身の旗本らに金を貸し付けて暴利を得る検校も多くいました。
鳥山検校は1500両という多額の蓄財をなし、吉原での豪遊で世間から注目されていました。
初会、花魁は口をきかないしきたりですが、そんな瀬川に検校は退屈しのぎにと本をプレゼントしました。瀬川がお礼に本を朗読しようと手に取ったのは、鱗形屋の印が入った青本『金々先生栄花夢』でした。
同じ頃、次郎兵衛も『金々先生栄花夢』を読んでいます。
次郎兵衛はこの本の面白さについて語りながら、たくさん仕入れたほうがいいと助言します。
その本を見て蔦重はあることに気が付きます。
まさか…!
花街の様子を面白おかしく書いたこの本のネタは、かつて鱗形屋と意気投合し、面白い青本(大人向けの本)を作ろうと蔦重が走り回って集めたものでした。
本を手に駆け出す蔦重。
駿河屋の2階座敷では、蔦重と女郎屋の主人たちが話し合いを持ちます。
本が売られているということは、つまり鱗形屋の復活を意味します。
蔦重の地本問屋への仲間入りの約束が潰される可能性が出てきました。
対抗策を協議する吉原の面々。
明け方の九郎助稲荷。
蔦重は、鱗形屋復活を知り心配している瀬川に、女郎屋の主人たちが仲間に入ってくれたから安心だと伝えます。
扇屋の親父さんなんて、地本問屋をみんなまとめて吉原漬けにして首回らないようにしちまえって
そしてお礼に『女重宝記(おんなちょうほうき)』という本を贈ります。
『女重宝記』は女性のための教訓書。
瀬川には名のある武家や商家に身請けされて幸せになってほしい、女郎は世間知らずなため苦労するものが多いと聞くが、必要な知識が学べるそうだ、と話す蔦重。
瀬川にしてみれば蔦重にとっての自分は救ってやりたい女郎の一人にすぎないと虚しいばかりでした。
はは、ばからしゅうありんす…
ですが、すぐに笑顔に戻り、本を受け取りました。
吉原vs地本問屋
吉原・駿河屋の2階座敷。
鱗形屋、鶴屋、西村屋など地本問屋たちが集まってきました。
鶴屋が
付き合いの長い鱗形屋を支えたいので耕書堂の仲間入りをなかったことにしてほしい
と約束の反故を切り出します。蔦重は
出版するのは吉原の本だけ。
鱗形屋の芝居絵本や往来ものには一切手を出さないので何とか仲間入りをさせてほしい
と低姿勢で頼み込みます。
さらに蔦重の作った『吉原細見』を無料で譲るほか、西村屋の『雛形若菜初模様』を続けてもいいという好条件まで提示します。
この条件に地本問屋たちは心が揺れています。
鶴屋は地本問屋たちを退席させ、同行していない者の意見として
吉原者は卑しい外道
市中に関わらないでほしいと願う方々がいるということです
蔦重がその人たちと直接話させてほしいと頼んでも鶴屋は笑みを浮かべて言葉を重ねます。
皆様、吉原の方とは同じ座敷にもいたくないって具合で
ついに全吉原の堪忍袋の緒が切れました。
駿河屋は
屁理屈ばかり並べやがって!!
と声を荒げ、鶴屋を座敷から引きずり出し、階下にぶん投げました。
大文字屋(伊藤淳史)は地本問屋の連中の吉原への出入り禁止を告げ
これで吉原の本は蔦重しか作れなくなったな
と他のものが階下へ叫ぶと
鶴屋のすまし顔が初めてカッと歪むのでした。
大河ドラマ『べらぼう』第8話 あらすじの登場人物
『べらぼう』8話の主な登場人物一覧です。
役名 | キャスト | 役柄 | 史実では |
語り: 九郎助稲荷(くろすけいなり) |
綾瀬はるか | 吉原遊廓内にあった稲荷社。 現在は吉原神社に祀られている。 |
|
蔦屋重三郎 | 横浜流星 | 主人公 | 江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎は何をした人? |
駿河屋 | 高橋克実 | 主人公の養父 | 「蔦屋」茶屋などを営む |
ふじ | 飯島直子 | 主人公の養母 | |
次郎兵衛 | 中村蒼 | 主人公の義兄 蔦屋の主 |
大門口の引手茶屋の主。 実家が裕福なので商売に熱心ではない |
留四郎 | 水沢林太郎 | 五十間道の蔦屋で働く | |
半次郎 | 六平直政 | つるべ蕎麦店主 | |
鳥山検校 | 市原隼人 | 盲目の大富豪 | 五代目瀬川を身請けした大金持ちの盲人 |
松葉屋半左衛門 | 正名僕蔵 | 妓楼主 | 吉原の有名妓楼主 最盛期を築く |
いね | 水野美紀 | 松葉屋女将 | |
花の井/五代目瀬川 | 小芝風花 | 松葉屋女郎 | 伝説の悲運の名妓 |
うつせみ | 小野花梨 | 松葉屋女郎 | |
松の井 | 久保田紗友 | 松葉屋女郎 | |
とよしま | 珠城りょう | 松葉屋番頭新造 | |
朝顔 | 愛希れいか | 松葉屋女郎 | |
きく | かたせ梨乃 | 河岸見世・二文字屋女将 | |
ちどり | 中島瑠菜 | 二文字屋女郎 | |
大文字屋市兵衛 | 伊藤淳史 | 妓楼主 | 2代目大文字屋 初代が小柄でケチで「カボチャ」と呼ばれた。 狂歌界のキーパーソン |
扇屋右衛門 | 山路和弘 | 妓楼主 | 蔦重と同じ狂歌グループで吉原の交流で重要な役割を果たす |
りつ | 安達祐実 | 大黒屋女将 | |
志津山 | 東野絢香 | 玉屋女郎 | |
鱗形屋孫兵衛 | 片岡愛之助 | 版元 | 「鶴鱗堂」『吉原細見』を独占刊行した書店・版元。 武家とトラブルを起こす |
鱗形屋長兵衛 | 三浦獠太 | 鱗形屋の跡取り息子 | |
藤八 | 徳井優 | 鱗形屋の番頭 | |
須原屋市兵衛 | 里見浩太朗 | 版元『解体新書』を出版 | 「申椒堂」平賀源内や杉田玄白の本を刊行 |
小泉忠五郎 | 芹澤興人 | 本屋 | |
徳川家治 | 眞島秀和 | 10代将軍 | 文武両道で将来を嘱望されていたが神経質で長男を亡くし政治に興味を失う。 |
知保の方 | 高梨臨 | 家治の側室・家基の母 | 子を産むが正室(倫子)の養子に出され抱くことが許されなかった |
徳川家基 | 奥智哉 | 家治の息子 | 文武両道。18の時、鷹狩の帰り道に腹痛に見舞われる |
清水重好 | 落合モトキ | 家治の弟・御三卿 | |
徳川家斉 | 11代将軍 | ||
一橋治済 | 生田斗真 | 家斉の父・家治のいとこ・御三卿 | 時代のキーマン。画策につぐ画策。 一橋治済|黒幕と呼ばれた男 |
大崎 | 映美くらら | 家斉の乳母 | 治済とともに家斉を支持 一橋治済|黒幕と呼ばれた男 |
田沼意次 | 渡辺謙 | 老中 | 将軍に寵愛され派手に出世したイケメン。大奥でも大人気。 田沼意次|狂乱の時代を作った男 |
田沼意知 | 宮沢氷魚 | 意次の息子 | 将来を嘱望された優秀な人材 |
田沼意致 | 宮尾俊太郎 | 意次の甥 | |
三浦庄司 | 原田泰造 | 意次の側近 | |
平賀源内 | 安田 顕 | 作家・発明家 | エレキテルなどを発明した万能の奇才。心身を病んで獄中死。 |
小田新之助 | 井之脇 海 | 浪人 | |
松本秀持 | 吉沢悠 | 勘定奉行 | |
長谷川平蔵 | 中村隼人 | 鬼平・定信に登用される | 『鬼平犯科帳』のモデル |