2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
第33話「打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)」あらすじ
を紹介いたします。
順次あらすじを公開していきますので、お楽しみいただけますと幸いです。
※ネタバレ含みます
大河ドラマ『べらぼう』第33話 あらすじ
打ち壊し
1787年(天明7年)5月20日
小田新之助ら一党が、田沼家御用達の米屋の戸を木槌で壊し、次々と米俵を運び出しています。

天誅だ!俺達の苦しみを思い知れ!
大名ら御用達の米屋だけを狙った打ち壊しには大義名分があり、盗みではありません。
行き場を失った米は道に撒かれたり川に投げ込まれたり…。
お救い銀
江戸城で報告を受ける田沼意次のもとに文が届きます。
急ぎ屋敷に戻ると、待っていたのは蔦重です。
用件は、源内の屋敷に出入りしていた男が打ち壊しを煽っていたという報告と、米を配れないなら金を配り、騒動をおさめてはどうかという提案でした。
意次はその案を採用し、大名らに負担させようと考えます。
李代桃僵
耕書堂では、米を炊くと煙で人々が打ち壊しに来ることを恐れ

米俵を一つ出しておくという手はありませんか?
「李代桃僵」と申しますし
「李代桃僵」
「すもも(李)が桃の代わりに僵(たお)れる」
価値のある桃の木を守るために、価値の低い李 (すもも) の木が代わりに枯れる、つまり、価値の低いものを犠牲にして価値の高いものを守り、全体の被害を少なく抑えつつ勝利するという兵法の戦術。
ていの案で、打ち壊しに遭わないよう米を提供することになりました。
さて、蔦重は、意次からの指示で「金を撒く」というビラを刷り、打ち壊しの最中に配らなければなりません。
打ち壊しをする民衆から田沼の手先と思われないため、ビラを受け取ってもらうための工夫が必要です。
意次、頭を下げる
江戸城では、大名たちが集められ、お救い米として米を負担するよう伝えられています。
そのさなか、打ち壊しによる死者が出たという報せが入ります。
打ち壊しにあった店の前では、「かつて丈右衛門だった男」が金品を盗むよう人々にそそのかしています。
盗みを止める新之助と同心たちですが、興奮状態の民衆は聞く耳を持ちません。
江戸城で騒動を耳にした大名たちに意次は

騒ぎを真に収められるのは米。
米だけが民の怒りを収めさせる鞘にございます。
そのために身を切ったとなれば、皆様は打ち壊しにあった者ではなく、打ち壊しを収めた者として、後の世まで残りましょう。
どうかご英断ねがいたく!どうか!
と深く頭を下げました。
斎宮太夫とビラ配り
幟を作ったり、芸の確認をしたりと大忙しの耕書堂。
そこへ連れてこられたのは斎宮太夫。
必死に盗みを止める新之助の耳に、突然、銅鑼の音が鳴り響き、斎宮太夫の歌声が聞こえてきました。
通りには斎宮太夫、次郎兵衛、留四郎、芸者たちが練り歩き、幟を立てて、「お救い銀」が出ると歌いながら、ビラを配っています。
蔦重、襲われる
エンタメのおかげで騒動が次第に鎮まっていくなか、蔦重は「かつて丈右衛門だった男」に肩をつかまれます。
あいくちを振りかざす男。
殺される!と思った瞬間
新之助が間に割って入ってきました。
倒れ込む2人。
騒然とする群衆。
新之助は脇腹を刺されています。
男はなお蔦重を狙います。
その時
男が突然前のめりに倒れました。
駆けつけた長谷川平蔵に斬られたのでした。
新之助、死す
男は絶命し、新之助も苦しみ始めました。
あいくちに毒が塗られていたのです。

おふくと坊のところへ。
新之助は死期を悟り、医者ではなくふく達の元へ旅立つことを望んでいました。
肩を貸し、歩き始める蔦重。

蔦重を守れて良かった…俺は世を明るくする男を守るために生まれてきた…
新之助の言葉は途切れ、力が抜け、蔦重に重みが伝わります。

よしてくだせえよ、新さん
てめえで立ってくだせえよ
震える声で笑顔の新之助に問いかけ、立ち尽くし、やがて座り込む蔦重。
高岳、ゆすられる
打ち壊しが収束したことに安堵する田沼屋敷に、松平越中守定信が老中就任を大奥が認めたとの報せが舞い込みました。
高岳は、かつて種姫の名で亡き徳川家基に贈った「死の手袋」をネタに大崎にゆすられていたのです。
そのことを知らない意次は、高岳の裏切りを訝っています。
治済と定信
一橋治済のもとに松平定信がやってきました。
定信は、老中首座以外なら老中の話を断ると伝えます。
息子である将軍・家斉に田安家を差し出すならと条件を持ち出す治済。
歌麿の真骨頂
蔦重が墓地で手を合わせていると、新之助の訃報を聞いた歌麿に声を掛けられました。
歌麿は、花や虫などを活き活きと描いた絵を蔦重に見せて言いました。

いつかは消えてく命を紙の上に残す。
命を写すことが俺のできる償いかもしんねえって思いだして。
近頃は少し心が軽くなってきたよ。

…歌、新さんが死んだ
初めて蔦重の目に涙が浮かびます。
蔦重の涙
自責の念にかられる蔦重に、歌麿は問いかけます。

新さんってどんな顔をして死んだ?
俺はさ、いい人生だったと思うんだよ。
さらいてえほど惚れた女がいて、その女と一緒になって。
苦労もあっただろうけど、きっと楽しいときも山程あって。
最後は世に向かっててめえの思いをぶつけて貫いて。
だからとびきりいい顔しちゃいなかったかい?

いい顔だった…
今までいっちいい、いい顔…男前で…おめえに、おめえに写してもらいたかった
歌麿に見守られながら蔦重はいつまでも泣き続けました。