2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の第20話
「寝惚けて候」あらすじ
を紹介いたします。
順次あらすじを公開していきますので、お楽しみいただけますと幸いです。
※ネタバレ含みます
大河ドラマ『べらぼう』第20話 あらすじ
太田南畝との出会い
江戸城内の一橋邸では、田沼意次と一橋治済が対面しています。
一橋家の嫡男・豊千代を時期将軍にという徳川家治の意向を伝えると、驚いて見せる治済。
田安家の種姫を豊千代の正妻である御台所とし、薩摩の茂姫との縁組を解消して側室とすることを、治済も承諾しました。
さて、蔦重は、青本ランキング本『菊寿草』の中で『見徳一炊夢(みるがとくいっすいのゆめ)』を最優秀賞に選んでくれ、蔦重をべた褒めしてくれた太田南畝にお礼を伝えるため、須原屋市兵衛の仲立ちで牛込・御徒組屋敷まで足を運びます。
組屋敷とは御家人の社宅のような場所。
御徒(おかち)とは御家人の最下層で、太田南畝の屋敷はボロボロでした。
泣き叫ぶ赤ちゃんをおんぶした太田南畝が現れます。
何でも「めでたい」と言う楽観的な太田南畝に好感を持った蔦重は、耕書堂でやりたいことをしないかと誘います。
狂歌をしたいと答える太田南畝。
狂歌は、いうなれば和歌のパロディで、気楽に詠める点が身分を超えて人気でした。
三大狂歌師と言われる太田南畝に「狂歌会」に誘われた蔦重は、二つ返事です。
仕入れの大義名分
耕書堂でりつと狂歌の話をしているところへ、岩戸屋がやってきました。
喜三二の『見徳一炊夢』の大口注文でした。
難癖をつけられても「今年一番の本を置かないわけにはいかない」などと言い訳さえ立てば、耕書堂の本を扱えると話す岩戸屋。
岩戸屋が帰ると、蔦重は歌麿に問いかけます。

歌。お前、清長そっくりはいけるか?
仕入れの大義名分を作るために動きはじめる蔦重。
御台所は種姫か茂姫か
薩摩藩藩主・島津重豪(しげひで)に茂姫を側室にすることを断られたと聞き、田沼意次は重豪と会うことになりました。
重豪は赤ワインを嗜み、オランダ語を話す「蘭癖大名」でした。
本音では茂姫が側室でもいいと考えている重豪は、意次が帰った後

何度も申し上げますが、私は側室でも構わぬのですぞ
しかしなにゆえかような無理筋を通すような真似を
そこまで田安家を除いておしまいになりたく
と治済に問います。

楽しみじゃのう
と笑う治済。
この件を聞き、慌てたのは宝蓮院と知保の方でした。
意次の「田安外し」の画策ではないかと勘ぐり、さっそく家治への文を高岳に託します。
その文を読んだ意次はため息をつき、高岳に尋ねます。

正直なところ、大奥はどちらが良い?
種姫様か島津の茂姫か、御台様としてお迎えするなら
高岳は赤ワインをくゆらせながら考えを巡らせます。
半値の入銀本
西村屋は、鳥居清長で入銀本『雛形若菜』を作るため入銀を募っています。
『雛形若菜』は呉服屋に入銀させて錦絵を出版する、いわば広告タイアップ本。
5件も客から断りが入り不思議に思っている西村屋は、小泉忠五郎からある物を見せられました。
蔦重が歌麿に描かせた『雛形若菜』ならぬ『雛形若葉』の見本です。
駿河屋の2階の座敷では、歌麿を連れた蔦重が、西村屋の客である尾張屋に『雛形若葉』の入銀を募っています。
鳥居清長そっくりな絵が、無名絵師の作品なので西村屋の半額という蔦重のセールストークを聞き、尾張屋は西村屋ではなくこちらに入銀することになりました。
一橋豊千代の西の丸入り
宝蓮院が高岳に激怒しています。
娘の種姫の縁組が、時期将軍・豊千代の御台所ではなく、紀州徳川家に決まったからです。
高岳は意に介さず、赤ワインをくるくる回しています。
その時、叫び声が聞こえてきました。

わたしは西の丸におるのじゃ!
知保の方が無理やり西の丸を追い出されています。

西の丸には豊千代様のご生母様もご一緒に入られるとのことで、西の丸を離れるようにと主殿頭様より…
大崎が説明します。

田沼、いつか天罰がくだろうぞ!
5月、一橋豊千代は、10代将軍・徳川家治の養子となり、西の丸に入りました。
後の11代将軍・徳川家斉です。
田沼意次は家治の気持ちを考えるとやりきれませんが、家治は常に先の世を見据えていました。
市中への販路を拓く
その頃、蔦重はワクワクしながら恋川春町の新作を読んでいます。
西村屋は、『雛形若菜』を潰され、さらには細見も作れない状況に追い込まれていました。
吉原では女郎の名が大きく変えられていて、細見を半分くらい作り直さなければならないからです。
それは吉原ぐるみの策略でした。
西村屋から話を聞いて、策略に気づいた鶴屋は激怒します。

細見は大事にしてくださいってお願いしたじゃないですか!
細見の問題を話し合うため地本問屋たちが集まり、日本橋に店を出す鶴屋など大店と岩戸屋などの小さな本屋が、話し合います。

俺等はどこから細見を入れろっていうんですか!
岩戸屋が食って掛かります。
「蔦屋などすぐ潰れる」という日本橋の言うことを聞いて耕書堂の本を置かなかった結果、何年も耕書堂の本を求める客を逃し、損を押し付けられてきた。

もうそろそろ蔦重との取引を認めてくれませんかね!でなきゃあ…
それを聞いた鶴屋はあっさり「認めます」と承諾します。
鶴屋には、突っぱねれば本屋たちが蔦重の味方になることがわかっていたのです。
大義名分のできた小さな本屋の主人たちが、耕書堂に買付にやってきました。
店は注文が殺到し、大忙しです。
蔦重は岩戸屋が上手く立ち回ってくれた謝礼の本に加え、恋川春町の新作『無題記』も無料で手渡します。
ようやく仲間に入れたと思った蔦重は、細見を手に鶴屋へ挨拶に行きますが

何か勘違いされてませんか?
確かに市中の本屋がそちらと取引することは勝手を認めましたが、うちが取引するかは別の話です。
私は、蔦屋さんの作る本など何一つほしくはない
と拒絶されてしまいます。
蔦重と入れ違いに鶴屋へ入ってきた絵師・北尾政演に

政演先生、一つ本気で戯作をやってみませんか?
と誘いをかける鶴屋。
鶴屋は、後にベストセラー作家となる山東京伝の才能をいち早く見出していたのです。
狂歌の会
とある料亭、蔦重は次郎兵衛とともに太田南畝に招かれて、狂歌の会を見学しています。
狂歌の会メンバーには、平秩東作の姿もありました。
和歌は和歌の言葉「雅語」を使いますが、狂歌は普段話す言葉のまま詠んでいいとのこと。
会主は「元木網(もとのもくあみ:湯屋の主人の狂名)」、お題は「鰻に寄する恋」。
「わが恋は鰻の見えぬ桶のうちのぬらぬらふらふら乾く間もなし」
これは朱楽菅江(あけらかんこう)の歌。

鰻のおらぬ桶
好物の鰻もおらねば、愛しい女も今は去った。
我が鰻だけが乾く間もない涙で濡れ、さまよい歩くという男心をうたっております

なるほど、しかし「ふらふら」ではなく「むらむら」としていかがか
狂歌の会の締めの宴席は、うなぎ料理が並びます。
そこへ遅れて入ってきたのが、羽振りの良さそうな武士・土山宗次郎です。

来ぬ人を待つほど恨む夕鰻は焼くやも塩かタレ惑いつつ
蔦重が挨拶をすると、土山宗次郎に狂歌を促され、下手な歌を詠みます。

あな鰻ああうまそうな蒲焼の山芋とろとろこりゃうまそう
豪快に笑う土山宗次郎。
続いて太田南畝が

あな鰻いづくの山のいもとせをさかれてのちに身を焦がすとは
身を焦がす思いを、背を裂かれて焼かれた鰻に託して詠みました。
この狂歌に、痺れる蔦重。
テンションが上ります。

四方の赤みそひと文字の病にはつける薬もなきの一杯
四方の赤(よものあか)=太田南畝は蔦重に酒を注ぎます。
その夜、歌麿に

狂歌、ありゃ流行る
俺が流行らせる!
と興奮気味に話す蔦重でした。