「源氏物語」五十四帖：夢浮橋（ゆめのうきはし）あらすじ

「源氏物語」五十四帖：夢浮橋（ゆめのうきはし）あらすじ

薫28歳の夏。

薫は比叡山の奥・横川（よかわ）を訪ね、小野で出家した女について僧都に詳しく尋ねました。

その女は浮舟に違いない

と確信した薫が夢のような気がして涙をこぼす様子を見、僧都は浮舟を出家させたことを後悔します。

薫は僧都に浮舟のいる小野への案内を頼みます。
僧都は「今は難しいが来月なら御案内しましょう」と告げます。
薫は浮舟への口添え文を僧都に懇願して書いてもらいました。

その夜、横川から下山する薫一行の松明の火が、浮舟がいる小野の庵からも見えていました。
妹尼たちが薫の噂をする中、浮舟は薫との思い出を払うように念仏を唱えます。

翌日。
薫の使者として浮舟の異父弟・小君が小野を訪れます。
朝早くに僧都から前日の事情を知らせる文が届いており、妹尼たちが浮舟の素性に驚いていたところでした。

小君が持参した僧都の文には、薫との復縁と還俗の勧めをほのめかしてありました。
簾越しに異父弟の姿を見た浮舟は動揺するものの、心を崩さず、妹尼のとりなしにも応ぜず、小君との対面も拒み、薫の文にも「（宛先が）人違いだったらいけない」と言って受け取ろうとしませんでした。

むなしく帰京した小君から「対面できず、お返事も頂けなかった」と聞いた薫は自分が浮舟を宇治に隠していたように

他の誰かが浮舟を小野に隠しているのではないか

と思ったのでした。

五十三帖　手習