2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
第36話「鸚鵡のけりは鴨」あらすじ
を紹介いたします。
順次あらすじを公開していきますので、お楽しみいただけますと幸いです。
※ネタバレ含みます
大河ドラマ『べらぼう』第36話 あらすじ
定信、激怒
1789年(寛政元年)2月。
寛政の改革と江戸の世相を風刺した黄表紙は、飛ぶように売れています。
田沼意次の葬列への投石を許可した話も伝わり、松平定信の評判は陰りを見せてきました。
定信が黄表紙好きと知って調子に乗る蔦重ですが、定信は業務に忙殺され、本を読む暇もありません。
これは、これまで黙殺されていた賄賂の取り締まりを行った結果、うまみのなくなったお役目を辞退する者が続出し、人手不足に陥ったからでした。
忠義を果たすことこそ無上の喜びと考える定信には、理解できません。
百聞は一見にしかずと、『鸚鵡返文武二道』を定信に差し出す本多忠籌。
『鸚鵡返文武二道』には、定信の文武奨励策が空回りするさまが描かれています。
激怒する定信は

これはもはや謀反も同じである!!
と、本をビリビリと破り捨てました。
絶版、絶筆
日本橋に、奉行所の者たちが大挙してやってきました。
寛政の改革を風刺した黄表紙3作は絶版。
店頭の本も没収されてしまいます。
そこにやってきた朋誠堂喜三二と恋川春町。
2人は、素性がバレたと話します。
喜三二は国へ戻り、春町は「病で隠居(家中にて罰)」ということに。
そこへ、平秩東作の病を知らせる文が大田南畝から届きました。
平秩東作、死す
大田南畝を伴い蔦重と須原屋市兵衛が見舞うと、平秩東作はふいに平賀源内を見たと話し始めます。

こないだ来たのよ、狂歌が流行る前に江戸を去っちまったから、狂歌会出てぇって。
須原屋に戻り酒を酌み交わす3人。
源内があの世から迎えに来たのかもしれないと話す大田南畝に

生霊かもしんねえですよね?
死んだとは決まってねえでしょう?
誰も源内先生の亡骸は見てねえんだから。
と蔦重。

世界の時計は進むのに日の本だけは100年前に逆戻り。
ますます取り残されちまう。
俺や田沼様がやったことは何だったんだって言いに来てんのかもしんねえな。
と須原屋。
春。清浄明潔。
平秩東作は息を引き取りました。
蝦夷上知案
5月。
松前藩の非人道的な扱いに耐えかねた蝦夷の人たちが立ち上がり、東蝦夷地で戦が起こります。
藩主・松前道廣は、残虐な方法で蝦夷を平定。
江戸城では、蝦夷地を松前から取り上げるべきという話題が俎上に上がります。
上げ知を決めた定信は、さっそく一橋治済と御三家の前でこの案を披露します。
治済は

わしはよいが、そなたはそれでよいのか?
そなたこそが「田沼病」とわらわれはせぬかと案じておる。
驚く定信に、民衆は意次の焼き直しだと感じるのではないかと、恋川春町の『悦贔屓蝦夷押領』を懐から取り出します。
英雄・源義経に見立てられた意次が蝦夷を平定させ将軍に献上するという話は手柄の横取りがテーマとなっています。

恋川春町、倉橋格なるものを呼び出せ!
その夜の一橋治済の屋敷には、松前道廣の姿がありました。
春町の作戦
定信からの呼び出し状を手に、蔦重に相談する春町。
いっそ自分たちの思いの丈を話すという案も浮かびましたが、主君に危険が及ぶリスクがあり、これは却下。

いっそまことに病で死んでしまうってのはどうです?
病で隠居は建前ではなく、本当だったってことにして。
その後は絵や戯作を生業として別人として生きてく、とか。
…ねえですね。

いや、それが最善かもしれぬ。
さっそく主君に、死んで別人になり戯作者として生きていくことを伝える春町。

そなたの筆が生き延びるのであれば頭などいくらでも下げようぞ
温かい言葉に、春町は涙をこらえ平伏します。
喜三二の送別会
喜三二の帰郷の日。
駿河屋では送別会が催されます。
そこには年季が明けて、手習いの師匠になった松の井の姿もありました。
元松の井は

お千代にございます
と喜三二のサインをもらい、思い出話に花を咲かせます。
みんなが喜三二のサインをもらうなか、山東京伝こと北尾政演が「北里喜之介」の名で書いてくれるよう求めます。

そりゃひょっとして喜三二先生が「喜之介」として筆をとるってことかい?
と三和。
笑いをこらえる喜三二。
喜三二が名を変え執筆活動を続けると知り、喜ぶ面々。
春町、死す
すべてうまくいく。
そう思った矢先、春町切腹の報せが入ります。
春町の屋敷を定信が訪ねることを知り、逃亡せよとの主君の言葉に迷惑は掛けられないと切腹を決意。
ていの話では、店の前で立ち尽くしていた春町に声を掛けたところ「豆腐でも買って戻るとする」と言って帰っていったと言います。
蔦重へ書きかけの手紙があり
辞世の句もしたためられています。
「我もまた身はなきものとおもひしが
今はの際はさびしかり鳧」

「鳧」は鴨のこと。
鸚鵡のけりは鴨でつけるというひねりですかね
その時、三和が辞世の句を書き換えます。
「我もまだ実は出ぬものとおもひしが
今はの側が恋しかり鳧」
お腹を壊した句など死者への冒涜。
責められると

だってこんなのやってられねえじゃねえかよ!ふざけねえとよ!
と三和。
よく見ると亡くなった春町の頭には豆腐がついています。
今際の際に、買ってきた豆腐を見て
「豆腐の角に頭をぶつけて死んだ」
を再現することを思いついたのではないかと蔦重。
真面目な春町は、最期までふざけてみたかったのかもしれません。
春町の気持ちをおもんぱかると、皆、号泣するしかありません。
定信の思い
春町切腹の一報を耳にした松平定信。
顔から色が消えていきます。

一人の至極真面目な男が、武家として、戯作者としての「分」をそれぞれわきまえ全うしたのだと、越中守様にお伝えいただきたい。
そしてふざければ腹を切らねばならぬ世とは一体誰を幸せにするのか。
学もない本屋風情には分かりかねる。
…と、そう思うしておりました。
春町の主君は蔦重の言葉を伝えます。

…ご苦労であった
定信は、対面所を出て、
布団部屋に直行し、
積み上がった布団に顔を突っ込み、
しばし微動だにせず。
慟哭。