大河ドラマ『光る君へ』のなかで、ついにまひろが源氏物語をしたため始めます。
こちらでは、まひろの描いた「源氏物語」の内容・あらすじを一帖ずつご紹介します。
1桐壷 | 2帚木 | 3空蝉 | 4夕顔 | 5若紫 | 6末摘花 |
7紅葉賀 | 8花宴 | 9葵 | 10賢木 | 11花散里 | 12須磨 |
13明石 | 14澪標 | 15蓬生 | 16関屋 | 17絵合 | 18松風 |
19薄雲 | 20朝顔 | 21少女 | 22玉鬘 | 23初音 | 24胡蝶 |
25蛍 | 26常夏 | 27篝火 | 28野分 | 29行幸 | 30藤袴 |
31真木柱 | 32梅枝 | 33藤裏葉 | 34若菜上 | 35若菜下 | 36柏木 |
37横笛 | 38鈴虫 | 39夕霧 | 40御法 | 41幻 | 42匂宮 |
43紅梅 | 44竹河 | 45橋姫 | 46椎本 | 47総角 | 48早蕨 |
49宿木 | 50東屋 | 51浮舟 | 52蜻蛉 | 53手習 | 54夢浮橋 |
では二帖、帚木(ははきぎ)のご紹介です。
『光る君へ』をご覧の際のご参考に、また、「源氏物語」の古文を読まれる際にもお役立ていただけましたら幸いです。
「源氏物語」二帖:帚木(ははきぎ)あらすじ
光源氏17歳の夏。
五月雨の夜、17歳になった光源氏のもとに、葵の上の兄であり良きライバルであった頭中将が訪ねてきました。
頭中将が源氏に贈られてきた恋文を見つけたことから、左馬頭(さまのかみ)と藤式部丞(とうしきぶのじょう)も加わり、4人で女性談義をすることになります。
1人め
左馬頭は、
妻として完全な女などない。
家を治めるのは国よりもむずかしい。
妻選びに苦労するのは好色からだけではない
真実な心の女が望ましい
といい、体験談として
嫉妬深い女が俺の指に食いつき、これに腹が立ち、かえりみなかった間に死んでしまった
嫉妬さえなければよい女であったのに惜しい
さらに
浮気な女には他に男がいて、それを見つけたので別れた
結論として
そのときどきに必要な良識や判断があって、
でしゃばらない謙遜している女がよい
と語ります。
2人め
頭中将は、
女性と付き合うなら「中の品」(中流)の女性が一番よい
と前置きし、子までもうけた内縁の妻の話をします。
その女は頭中将の正妻(弘徽殿女御の妹)の嫌がらせにあい、現在も行方がわからない
女児がいたため今も忘れられず、思い出すと悲しい
と語ります。
3人め
藤式部丞は、
博識の女に言い寄り、女が賢女ぶっていろいろ教えてくれたが、無学者の身では頭があがらず足も遠のき、たまたま女がニンニクを食べてくさかったときに訪ねて逃げ帰った
と話します。
源氏は頭中将が話したような中流階級の女性に興味を持ちます。
翌日、方違えのため紀伊守の別宅を訪れた源氏は「中流階級の女性」である空蝉(伊予介の後妻)のことを聞くと、かいま見て興味を持ちます。
そして深夜に部屋に忍び込み、強引に一夜を共にします。
その一夜以来、空蝉を忘れられなくなった源氏。
そこで源氏は、空蝉の弟・小君を近侍として自分の元で仕えさせることに。
源氏から文を託された小君は、空蝉に文を届けますが
お断り申し上げなさい。
と叱られます。
姉の返事を源氏に伝えると、(何故ここまでつれなくされるのか?)と自分になびかない空蝉を、『竹取物語』の「なよ竹(かぐや姫)」になぞらえる源氏でした。
源氏はふたたび中河の家に行きますが、空蝉は源氏をさけて会いません。
「源氏物語」二帖:帚木(ははきぎ)ポイント
二帖「帚木」は、今後の源氏の人生を左右する重要な伏線が張られています。
ポイント1:雨夜の品定め
この場面は、「夕顔」巻に
「ありしあま夜のしなさだめの後いぶかしく思ほしなるしなじなあるに」
とあることから、『雨夜の品定め』(あまよのしなさだめ)と呼ばれる場面です。
『光る君へ』でもF4(藤原の4人組)が女性の品定めをする場面が出てきました。
ポイント2:頭中将の話は伏線
源氏の友達である頭中将が話した内縁の妻と娘は、後々物語に登場するキーパーソンとなります。この「帚木」は大いなる伏線となっています。