2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の第4話あらすじ
を紹介いたします。
順次あらすじを公開していきますので、お楽しみいただけますと幸いです。
※ネタバレ含みます
大河ドラマ『べらぼう』第4話 あらすじ
田沼の思惑
1774年(安永3年)秋。
田安家当主・田安治察が急死します。
母の宝蓮院(花總まり)と妹の種姫が治察にすがり泣いている傍ら、弟・賢丸(寺田心)が佇むばかり。
賢丸は、田安家を守るべく白川松平家の養子縁組を断ることを決意します。
賢丸の意向を受け、松平武元(石坂浩二)は、大奥総取締の高岳(冨永愛)を動かすことにしました。
将軍へは側用人の田沼意次(渡辺謙)から取り次ぐのが筋だとして 書状を差し戻す高岳。
すかさず武元が翡翠の香炉を差し出すと、高岳は意味深に笑みを浮かべ武元を見つめます。
江戸城中奥では、第10代将軍徳川家治(眞島秀和)が田沼意次に賢丸を田安家に戻ることを命じています。
田安家に万が一のことがあった時には賢丸を呼び戻していいと治察と約束したことを話します。
これを知った田安家はホッと胸をなで下ろしますが、
武元から田沼意次の動きに注意するよう助言された賢丸は、今回の養子縁組の件について、意次が賄賂ほしさに強引に進めたと聞き、意次への憎しみを覚えます。
一方、不服ながら将軍家治の命に従うと答えた意次は、家治を丸め込むため、知恵を絞っていました。
将軍家の血筋を守るために「御三家」があるのに「御三卿」があるのは財政の無駄。田安家に毎年10万両ものお金が必要だと息子の田沼意知(宮沢氷魚)に語る意次は、田沼家を潰そうと考えていました。
それを聞いた意知は、倹約令が敷かれるご時世に御三卿まで倹約する父は忠義者の極みだと称えます。
錦絵
そんな暗い陰謀が渦巻く中、吉原では女郎屋の主人たちの「ねこ自慢の会」が開かれています。
『一目千本』の成功に味をしめた主人たちは、蔦重に今度は女郎の「錦絵(カラー版画)」を出版しないかというのです。
鮮やかな錦絵の制作にはお金がかかります。
蔦重が資金の心配をすると、主人たちは
金の工面は任しとけ!
と軽く請け負います。
蔦重は不審に思いながらも引き受けることにしました。
松葉屋で、今度は女郎たちに取り囲まれた蔦重は、女郎たちがなぜ怒っているのかわかりません。
花の井は、女郎屋の主人たちに
蔦重が錦絵を出すから5両を入銀しろ
と指示されたことを説明します。
女郎たちには、着物、小間物、布団、調度品など何かとお金がかかります。
お客である旦那に頼めなければ自腹となり、店への借金につけられます。
花魁ともなれば禿の養育費まで負担しなければならず、どれだけ稼いでも借金をしなければ回らないシステムでした。
女郎は打出の小槌ではないと言われた蔦重は、金策を請け負い、鱗形屋を訪れます。
鱗形屋(片岡愛之助)から『一目千本』について
事前に一言 欲しかった
と皮肉を言われ
吉原の内々の摺り物だったので
と弁明した後、錦絵をただで作る方法を尋ねますが、鱗形屋は
女郎たちから入銀させればいい
と女郎屋の主人たちと同じ考えです。
それは避けたい…
思い悩む蔦重を冷やかに見つめる鱗形屋。
スポンサー契約
帰り道、蔦重は平賀源内(安田顕)と出くわしました。
源内から『放屁論(源内の著したおならについての論説)』という本を渡された蔦重は、両国の広小路に連れて行かれ 、「花咲男(自在に放屁する芸で人気の曲芸師)」の見せ物を見物します。
この時、うさぎのしっぽにも似た「路考髷(二代目瀬川菊之丞が流行らせた髪型)」の女性を見た源内が、菊之丞が流行らせた髪型や帯の結び方、着物の話をして、
あれで呉服屋が大儲けしたんだ
とこれを聞いた蔦重は、呉服屋に入銀させて錦絵を出版する広告タイアップを思いつきます。
絵にする女郎に、呉服屋の売り込みたい着物を着てもらうんです
あんたやっぱり天才だ!
これなら吉原はビタ一文出さずに錦絵を出版できます。
早速、女郎屋の主人たちに相談すると、自分で呉服屋に話をつけてこいと言われます。
この日から蔦重は、呉服屋が訪れる吉原じゅうの座敷を飛び回り交渉をしていきます。
ですが呉服屋の反応は悪く、行き詰まる蔦重。
駿河屋の主人(高橋克実)に相談すると、蔦重や女郎の知名度が低いのが原因ではないかと言われました。
ちょうどそこに錦屋で名を馳せた版元・西村屋与八(西村まさ彦)がやってきて一枚かませてほしいと申し出てくれました。
西村屋で錦絵を販売するだけではなく、他の本屋との取引も計らってくれるという申し出を蔦重は喜んで受けました。
西村屋が参加したことで話はトントン拍子に進みます。
これを知った呉服屋たちは、次々に入銀を快諾し、また、西村屋の計らいで絵師は美人画の得意な礒田湖龍斎(いそだこりゅうさい:鉄拳)に決定。
「耕書堂」
源内の元へ行きました。
唐丸(渡邉斗翔)が 錦絵に興味を持っているようだと蔦重が伝えると源内は
教えてやろうか
絵もやるのか?
源内は『解体新書』を見せながら、その挿絵を書いた小田野直武は自分の弟子だと笑います。
西村屋から独自の版元印を作るよう勧められた蔦重は、源内に相談してみました。
腕を組んで目を閉じる源内。
パッと目を見開くと、筆を持ち「耕書堂」の印を紙に描きます。
『二代目瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木』東洲斎写楽筆(出典:ColBase)
これは「書をもって世を耕し、日本をもっと豊かな国にする」という意味が込められた堂号でした。
その意味の大きさに蔦重は震えます。
絵の天才・唐丸
五十間道の「蔦屋」に戻ると、店は客の対応で大忙し。店の奥では駿河屋の猫が歩き回っています。
倒れている花器の下に濡れそぼった下絵用の袋が目に入った蔦重は、思わず叫んでしまいます。
急いで乾かしてはみるものの、湖竜斎の絵は線がにじみ、紙は波打っています。
すると唐丸が
試しに絵を書き直してみてもいいか?
と聞いてきました。
唐丸が正確に線を模写すると、やがて湖竜斎が描いたとしか思えない下絵が出来上がりました。
蔦重は
お前はとんでもねえ絵師になる
いや、俺が当代一の絵師にしてやる!
と熱く唐丸を抱きしめます。
こんなこと言われたの初めてだ
涙ぐむ唐丸ですが、蔦重は「初めて」という言葉がひっかかり、記憶喪失の唐丸の過去について考え始めます。
罠①
その頃、田沼屋敷では、源内が意次に徳川吉宗の書状を差し出していました。
「田安家・一橋家は跡継ぎがなければ当主を置かずお家断絶にする」という内容です。
意次の用人の三浦庄司(原田泰造)はその巧妙な策に舌を巻きます 。
後日それを意次が書状を賢丸らに見せました。
反論する松平武元を言いくるめる意次。
祖父である8代将軍徳川吉宗を崇拝している賢丸は、その言葉をないがしろにはできません。
賢丸は田安家に戻ることができなくなり、
意次ごとき足軽 上がりに愚弄された、手玉に取られた
と怒りに震えますが、武元に押し留められも耐えるしかありませんでした。
今に見ておれ
涙を流しながらとつぶやく賢丸。
田沼意次と松平武元・田安賢丸の対立は激しくなっていきました。
罠②
ついに錦絵が出来上がりました。
感慨深く「耕書堂」の印を眺め、さっそく駿河屋に見本を持っていきます。
呉服屋や女郎たちと談笑していると西村屋もやってきました。
『雛形若菜初模様』の見本摺りを披露すると、そのあまりに鮮やかで美しいことに称賛の声が上がります。
すると西村屋が
自分一人の版元とさせていただきたい
と言い出しました。
町中で販売するためには地本問屋の「株仲間」でなければならず、「耕書堂」の版元印があってはまずいという説明です。
その意見に鱗形屋や鶴屋(風間俊介)も加勢し、蔦重がどれだけ本を作っても市中で売っていくことは不可能ということが、みなにも理解できました。
駿河屋の座敷が静まり返るなか、大文字屋(伊藤淳史)が口を開きます
蔦重さえ手を引けばみんな丸く収まる
すると、西村屋 1人の版元にするという案にみな賛成し始めました。
ふざけんじゃねえ!
やったのみんな 俺じゃねえか!!
蔦重は、考案も製作も自分なので納得がいきません。
ですが駿河屋から
錦絵が広く出回ることが吉原のためだ
と諭されると、悔しい気持ちを押し殺し頭を下げるしかありませんでした。
べらぼうめ!
怒って大門を出て行く蔦重。
その夜、鱗形屋には祝杯をあげている鱗形屋と西村屋の姿がありました。
互いの芝居の上手さに
中村座にでも入ったらどうだ?
と冗談を言った後、鱗形屋はお礼のキックバックについて言及します。
西村屋から
あんなに怒らせた蔦重をこれからどうするのか
と聞かれると『一目千本』に目をやりながら
蔦重ごと吉原を丸抱えしたい
と野心をむき出しにする鱗形屋でした。
大河ドラマ『べらぼう』第4話|登場人物とキャスト
2025年大河ドラマ『べらぼう』第4話のあらすじに出てくる主な人物です。
役名 | キャスト | 役柄 | 史実では |
語り: 九郎助稲荷(くろすけいなり) |
綾瀬はるか | 吉原遊廓内にあった稲荷社。 現在は吉原神社に祀られている。 |
|
蔦屋重三郎 | 横浜流星 | 主人公 | 江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎は何をした人? |
てい | 橋本愛 | 主人公の妻 | 娘あり、吉原帰りの夫を咎める |
駿河屋 | 高橋克実 | 主人公の養父 | 「蔦屋」茶屋などを営む |
ふじ | 飯島直子 | 主人公の養母 | |
次郎兵衛 | 中村蒼 | 主人公の義兄 | 大門口の引手茶屋の主。 実家が裕福なので商売に熱心ではない |
留四郎 | 水沢林太郎 | 五十間道の蔦屋で働く | |
唐丸 | 渡邉斗翔 | 少年 | |
半次郎 | 六平直政 | 蕎麦屋 | |
松葉屋半左衛門 | 正名僕蔵 | 妓楼主 | 吉原の有名妓楼主 最盛期を築く |
いね | 水野美紀 | 松葉屋女将 | |
花の井/五代目瀬川 | 小芝風花 | 松葉屋女郎 | 伝説の悲運の名妓 |
うつせみ | 小野花梨 | 松葉屋女郎 | |
松の井 | 久保田紗友 | 松葉屋女郎 | |
とよしま | 珠城りょう | 松葉屋番頭新造 | |
きく | かたせ梨乃 | 河岸見世・二文字屋女将 | |
ちどり | 中島瑠菜 | 二文字屋女郎 | |
大文字屋市兵衛 | 伊藤淳史 | 妓楼主 | 2代目大文字屋 初代が小柄でケチで「カボチャ」と呼ばれた。 狂歌界のキーパーソン |
扇屋右衛門 | 山路和弘 | 妓楼主 | 蔦重と同じ狂歌グループで吉原の交流で重要な役割を果たす |
りつ | 安達祐実 | 大黒屋女将 | |
志津山 | 東野絢香 | 玉屋女郎 | |
礒田湖龍斎 | 鉄拳 | 絵師・浪人 | 大名土屋家(土浦藩主)の浪人 |
平沢常富 (朋誠堂喜三二) |
尾美としのり | 作家・絵師(武士) | 戯作者で、蔦重を支えた 自称”宝暦の色男” |
鶴屋喜右衛門 | 風間俊介 | 地本問屋 | 京都本店の大書店「仙鶴堂」。通油町に店を構える。蔦重&京伝と3人で日光に旅行にも。 |
鱗形屋孫兵衛 | 片岡愛之助 | 版元 | 「鶴鱗堂」『吉原細見』を独占刊行した書店・版元。 武家とトラブルを起こす |
鱗形屋長兵衛 | 三浦獠太 | 鱗形屋の跡取り息子 | |
藤八 | 徳井優 | 鱗形屋の番頭 | |
西村屋与八 | 西村まさ彦 | 版元「永寿堂」 | 「永寿堂」絵師鳥居清長を擁した蔦重のライバル |
須原屋市兵衛 | 里見浩太朗 | 版元『解体新書』を出版 | 「申椒堂」平賀源内や杉田玄白の本を刊行 |
小泉忠五郎 | 芹澤興人 | 本屋 | |
徳川家治 | 眞島秀和 | 10代将軍 | 文武両道で将来を嘱望されていたが神経質で長男を亡くし政治に興味を失う。 |
知保の方 | 高梨臨 | 家治の側室・家基の母 | 子を産むが正室(倫子)の養子に出され抱くことが許されなかった |
徳川家基 | 奥智哉 | 家治の息子 | 文武両道。18の時、鷹狩の帰り道に腹痛に見舞われる |
清水重好 | 落合モトキ | 家治の弟・御三卿 | |
徳川家斉 | 11代将軍 | ||
一橋治済 | 生田斗真 | 家斉の父・家治のいとこ・御三卿 | 時代のキーマン。画策につぐ画策。 一橋治済|黒幕と呼ばれた男 |
大崎 | 映美くらら | 家斉の乳母 | 治済とともに家斉を支持 一橋治済|黒幕と呼ばれた男 |
田沼意次 | 渡辺謙 | 老中 | 将軍に寵愛され派手に出世したイケメン。大奥でも大人気。 田沼意次|狂乱の時代を作った男 |
田沼意知 | 宮沢氷魚 | 意次の息子 | 将来を嘱望された優秀な人材 |
田沼意致 | 宮尾俊太郎 | 意次の甥 | |
三浦庄司 | 原田泰造 | 意次の側近 | |
平賀源内 | 安田 顕 | 作家・発明家 | エレキテルなどを発明した万能の奇才。心身を病んで獄中死。 |
小田新之助 | 井之脇 海 | 浪人 | |
松平武元 | 石坂浩二 | 老中首座 | 意次の上司。 吉宗に重用され、家重の後見に。 |
松平康福 | 相島一之 | 田沼の外戚 | |
松平輝高 | 松平武元の死後、老中首座となり絹織物や生糸に課税したため一揆が起こる | ||
宝蓮院 | 花總まり | 定信の養母 | |
田安賢丸 (松平定信) |
寺田心 | 老中・御三卿 | あと一歩で将軍だった。「寛政の改革」を行った。 松平定信/田安賢丸|将軍になりそこねた男 |
種姫 | 宝蓮院の娘 | ||
長谷川平蔵 | 中村隼人 | 鬼平・定信に登用される | 『鬼平犯科帳』のモデル |
高岳 | 冨永愛 | 大奥総取締 |
大河ドラマ『べらぼう』第4話ゆかりの地(耕書堂)
第1話のあらすじに登場する場所をご紹介いたします。
通油町(とおりあぶらちょう)耕書堂跡(こうしょどうあと)
33歳の時、通油町南側中程にあった地本問屋(じほんどいや、地本とは江戸で作る書物のこと)丸屋小兵衛の株を買収して店を「江戸のシリコンバレー」”通油町”に移します。
寛政11年(1799)、葛飾北斎が挿絵を描いた狂歌絵本『東遊あずまあそび』の1図より「絵草紙店」で葛飾北斎が描いたのも通油町の耕書堂です。
入り口の看板には山に蔦の葉のロゴマーク。これが蔦重の版元印です。
この地で幅広い出版物を制作・販売する形態へとビジネスを発展させることに成功したのです。
現在の東京都中央区日本橋大伝馬町13あたり
現在は東京メトロ馬喰横山駅近くの東横イン東京日本橋エントランス向かいに「耕書堂跡」という看板が立っています。
〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町13