「源氏物語」五十三帖：手習（てならい）あらすじ

「源氏物語」五十三帖：手習（てならい）あらすじ

薫27歳から28歳の夏にかけて。

自殺を図った浮舟は宇治川沿いの大木の根元に昏睡状態で倒れていました。

母の病気のため下山していた僧都一行に発見されて救われます。

なかでも数年前に娘を亡くした妹尼は、浮舟を初瀬観音からの授かりものと喜び、実の娘のように手厚く看護しました。

比叡山の麓の小野の庵に移されてしばらくたった夏の終わりごろ。
浮舟はようやく意識を回復します。
ですが、死に損なったことを知ると

尼になしたまひてよ

と出家を懇願するようになります。

かたくなに心を閉ざして身の上も語らず、物思いに沈んでは手習にしたためて日を過ごしていました。

妹尼の亡き娘の婿だった近衛中将が、小野の里に訪れ浮舟の後ろ姿を見て心を動かし、しきりに言い寄るようになりました。
妹尼は、この中将と浮舟を添わせたいと気を揉みますが、浮舟は頑なに拒み続けます。

九月。
浮舟は、妹尼が初瀬詣での留守中、折りよく下山した僧都に懇願して出家してしまいました。

帰って来た妹尼は驚き悲しみ、女房尼から知らされた近衛中将は落胆。
尼になった浮舟はようやく安らぎを得た思いでいました。

翌春。
浮舟生存の知らせが明石の中宮から中宮に仕える小宰相の君を経て、薫に伝わりました。
薫は

匂宮が隠しているのでは？

と疑いますが、薫は事実を確かめに、浮舟の異父弟・小君を伴い横川の僧都を訪ねます。

五十四帖　夢浮橋